オンコスタチンM誘発性の肺の組織炎症および肺線維症の機序
Mechanisms of oncostatin M-induced pulmonary inflammation and fibrosis
Mozaffarian A, Brewer AW, Trueblood ES, Luzina IG, Todd NW, Atamas SP, Arnett HA
The Journal of Immunology 2008 Nov 15; 181(10):7243-53.
背景
IL-6ファミリーのサイトカインであるオンコスタチンM(OSM)は、炎症の誘導、細胞外マトリックスの調節などの多くの生物学的過程に関与していると考えられている。
目的
本研究では、特発性肺線維症患者および強皮症患者の気管支肺胞洗浄液中においてOSMの発現亢進がみられることを示し、肺に過剰なOSMが存在することの病理学的意義について検討する。
方法および結果
マウス肺にOSMを投与すると、有意な炎症細胞の肺への動員が認められると同時に、肺へのコラーゲン沈着が用量依存的に増加し、ヒトの間質性肺疾患の特徴との病理学的相関が認められた。OSM誘発性の炎症とOSM誘発性の線維形成との関連についての理解を深めることを目的に、遺伝子改変マウスを用いて、この線維化応答が主としてBリンパ球、Tリンパ球、好酸球、マスト細胞に依存したものであることを示した。さらに、蛋白アレイとゲノムアレイの両手法を用いてOSM誘発性の炎症および線維形成の機序の探索を行い、種々のマトリックスメタロプロテアーゼ、細胞外マトリックスの構成成分、および線維形成に関与すると考えられてきたサイトカインの調節を示すOSMの「線維化のフットプリント」が得られた。
結論
IL-4/IL-13経路およびTGF-β経路は、線維形成における重要性および関連性が示されてきたが、本研究では特にOSMがこれらの経路とは独立に肺線維症を誘発できることが示されている。OSMが肺の炎症および細胞外マトリックス蓄積の強力なメディエータであることが実証されたこと、ならびに肺線維症患者においてその発現亢進がみられたことは、ヒト疾患においてOSMを治療標的とすることの根拠となる可能性がある。
コメント
肺の慢性炎症による間質性炎症、そしてその後に生じる肺線維症の発症については不明な点が多い。しかし、様々なサイトカインの発現亢進が発症に関与していることが示唆されている。TGF-βはその良い例である。本論文は、その他のサイトカインとして、OSMの関与の可能性を示唆したものとして興味深い。OSMはIL-6ファミリー分子で、レセプター分子のgp130を共通としている。いずれにせよ、OSMの機能阻害により間質性炎症の治療が可能であることを示したものとして有意義である。
監訳・コメント:大阪大学 先端科学イノベーションセンター 吉崎 和幸先生
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