flail arm型およびflail leg型ALSの自然経過と臨床的特徴
Natural history and clinical features of the flail arm and flail leg ALS variants
Wijesekera LC, Mathers S, Talman P, Galtrey C, Parkinson MH, Ganesalingam J, Willey E, Ampong MA, Ellis CM, Shaw CE, Al-Chalabi A, Leigh PN.
MRC Center for Neurodegeneration Research, Kings College London, Institute of Psychiatry, Department of Clinical Neuroscience, London, UK.L.C.
Neurology. 2009 Mar 24;72(12):1087-94
目的
筋萎縮性側索硬化症(ALS:運動ニューロン疾患)におけるbrachial amyotrophic diplegia(flail arm syndrome:FA)および偽多発神経炎型(flail leg syndrome:FL)の意義を明らかにすること。
方法
英国ロンドン(1,188件)およびオーストラリアのメルボルン(432件)の診療所のコホートにおいて、Kaplan-Meier法およびCox比例ハザードモデルにより、疾患発症後の生存期間を解析した。
結果
ロンドンのコホートでは、標本の11%がFA症候群、6%がFL症候群であった。生存期間中央値は、四肢型ALSで35カ月、球型ALSで27カ月であったのに対し、FA症候群では61カ月(P<0.001)、FL症候群では69カ月であった(P<0.001)。このコホートの5年生存率は、球型で8.8%、四肢型で20%、FA症候群で52%、FL症候群で64%であった。男性 対 女性の比率は、他の四肢型では2:1であったのに対し、FA症候群では4:1であった。下位運動ニューロン型のFA例およびFL例を除外すると、進行性筋萎縮症は標本の4%を占め、典型的な四肢型ALSと予後は同等であった。メルボルンのコホートでは、生存期間中央値は四肢型ALSで31カ月、球型で27カ月、FA症候群で66カ月(P<0.001)、FL症候群で71カ月(P=0.001)であった。
結論
FAおよびFL症候群の生存期間は、FAまたはFLに分類されない典型的なALSおよび進行性筋萎縮症患者よりも有意に長かった。今回の結果から、FA型およびFL型ALSの臨床上、予後予測上の意義が強調される。
コメント
ALSには、表現型の違いにより、両上肢障害型、両下肢障害型など頻度は少ないが存在しており、予後は比較的良好であることが以前より言われている。しかし、頻度が少なく、ALSの臨床的多様性の範囲における位置づけ、ALSとの異同の問題などについて一致した見解はない。特に自然経過は曖昧模糊のままであったが、本論文はその仮説をコホート研究で確認したものである。人工呼吸器装着など、経過の修飾因子が比較的少ない国での統計であり、自然経過を考えるうえで価値ある報告でもあるため、今後の臨床に役立つ。
監訳・コメント:大阪府立急性期・総合医療センター 神経内科 狭間 敬憲先生
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