関節リウマチ滑膜組織におけるマイクロRNA-146の発現
Expression of microRNA-146 in rheumatoid arthritis synovial tissue
Nakasa T, Miyaki S, Okubo A, Hashimoto M, Nishida K, Ochi M, Asahara H.
National Research Institute for Child Health and Development, Tokyo, Japan.
Arthritis Rheumatism 2008 May;58(5):1284-92
目的
約22-ヌクレオチドの非コードRNAであるいくつかのマイクロRNAは、組織または発生段階に特異的な発現パターンを示し、ヒト疾患に関連している。本研究の目的は、関節リウマチ(RA)患者由来の滑膜組織におけるマイクロRNA-146(miR-146)の発現パターンを明らかにすることであった。
方法
定量的逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)、および組織切片のin situハイブリダイゼーションと免疫組織化学により、RA患者5例、変形性関節症(OA)患者5例、および正常被験者1例の滑膜組織におけるmiR-146の発現について解析した。ヒト関節リウマチ滑膜線維芽細胞(RASF)の培養細胞を、腫瘍壊死因子α(TNFα)およびインターロイキン-1β(IL-1β)で刺激した際のmiR-146の誘導について、定量的PCRおよび定量的RT-PCRを用いて検討した。
結果
RA滑膜組織では成熟miR-146aおよび一次miR-146a/bが高発現しておりTNFαも発現していたが、OA滑膜組織および正常滑膜組織ではこの2つのマイクロRNAの発現がそれに比べ低かった。in situハイブリダイゼーションから、RA患者由来の滑膜組織の表層および表層下の細胞に一次miR-146aの発現が認められた。miR-146a陽性細胞は主としてCD68+マクロファージであったが、いくつかのCD3+T細胞サブセットおよびCD79a+B細胞が含まれていた。RASFにおけるmiR-146a/bの発現は、TNFαおよびIL-1βによる刺激後に顕著に亢進した。
結論
本研究から、miR-146はRA滑膜組織で発現し、TNFαおよびIL-1βの刺激によってその発現が誘導されることが示されている。これらの組織におけるmiR-146の機能を明らかにするためにさらなる研究が必要である。
コメント
マイクロRNA、特にマイクロRNA-146(miR-146)は、炎症性サイトカインや細菌成分のLPSなどによって誘導されるが、TNF受容体関連因子のTRAF6やIL-6関連キナーゼのIRAK-1遺伝子発現を抑制する。今回、RA滑膜細胞やサイトカイン刺激滑膜細胞でmiR-146の発現亢進がみられたことは興味深く、今後の研究に委ねられるが、炎症の亢進とともに直ちにその抑制機構が作動するネガティブ・フィードバック機序が存在することを示唆している。さらに、このシステムを利用した治療も考えられる。
監訳・コメント:大阪大学 先端科学イノベーションセンター 吉崎 和幸先生
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