大転子痛症候群に対するコルチコステロイド注射についてX線透視下と非透視下で行うことによる比較研究:多施設共同無作為化対照研究
Comparison of fluoroscopically guided and blind corticosteroid injections for greater trochanteric pain syndrome: multicentre randomised controlled trial
Cohen SP, Strassels SA, Foster L, Marvel J, Williams K, Crooks M, Gross A, Kurihara C, Nguyen C, Williams N.
Department of Anesthesiology, Johns Hopkins School of Medicine, Baltimore, MD, USA
BMJ 2009 Apr 14;338:b1088 doi:10.1136/bmj.b1088.
目的
X線透視下でステロイドを注入する場合と比較しX線透視を使わないで注入する場合に、どの程度大転子痛症候群の疼痛改善につながっているのかを評価する。
研究デザイン
多施設共同、二重盲検無作為化による比較研究。
調査施設
米国およびドイツの大学病院および軍病院の3カ所である。
調査対象者
大転子痛症候群の臨床診断を受けた患者65例である。
介入について
大転子滑液包にコルチコステロイドおよび局所麻酔薬の注射を行った。X線透視を使って注射位置を確認して注射した事例が32例、目印だけで非透視下で注射した事例が33例であった。
主要評価指標
主要評価指標として、注射から1カ月後の安静時および労作時の0〜10段階の評価尺度による疼痛スコアを用いた(良好な転帰は、安静時または労作時の50%以上の疼痛減少に加えて、全般的に良好な効果が感じられることと定義)。副次的評価指標として、オスウェストリー障害スコア、SF-36スコア、薬物使用の減少、患者の満足度を用いた。
結果
X線透視下群と非透視下群との症例の間では疼痛改善について差は認められなかった。注射して1カ月後の平均疼痛スコアは、X線透視下群で安静時2.7、労作時5.0であった。非透視下注射群ではそれぞれ2.2、4.0であった。注射3カ月後の転帰は、非透視下群の15例(47%)、X線透視下群の13例(41%)において引き続き良好であった。
結論
X線透視の利用により、大転子痛症候群の治療費は顕著に増加するが、疼痛指標の改善では非透視の場合と比べて差はなかった。
コメント
大転子とは、股関節を構成している大腿骨の頭側の骨端部で外側の出っ張りである。左右の大転子で体幹部を支えている。大転子と大臀筋腱の間には、潤滑液を包み込んだ袋、大転子部滑液包がある。この滑液包に炎症が起こると、大腿から股関節の外側に痛みが出て、歩行など日常生活に大きな影響がある。大転子痛症候群の患者の滑液包中に、炎症を抑える目的でステロイド剤を注入する際にX線透視が必要かどうかについて、疼痛スコアを指標として用いて検討した論文である。X線透視を行うと、注射針の位置を確認して正確にステロイドの注入を行うことができるが、目印をつけて注射することでもほぼ透視下と同様の結果が得られることを示している。
監訳・コメント:大阪大学大学院医学系研究科 健康政策学 高鳥毛 敏雄先生
PudMed: