スウェーデンの移民1世および2世における自己免疫疾患の発病リスクの検討
全国規模の追跡調査研究
Risks of Rheumatic Diseases in First- and Second-Generation Immigrants in Sweden
A Nationwide Followup Study
Li X, Sundquist J, Sundquist K.
Karolinska Institute, Stockholm, Sweden
Arthritis Rheum. 2009 May 28;60(6):1588-1596
目的
移民1世の出生国と自己免疫疾患による初回入院診断との間に関連があるかどうかを検討し、その関連が移民2世にも継承されているかを検討する。
方法
この追跡調査研究は、ストックホルムのカロリンスカ研究所のSwedish MigMedデータベースを使って、1964年1月1日〜2004年12月31日の期間に、スウェーデンに在住する移民1世および2世で入院中に自己免疫性疾患と初回診断された者を特定することにより行った。年齢、地域、および社会経済的状況で標準化して、性別、移民の各世代別に罹患比を算出した。
結果
自国生まれのスウェーデン人を対照群として、移民の罹患率の比を検討した。慢性関節リウマチの罹患比は、イラクからの移民1世で高かった。全身性エリテマトーデスの罹患比は、イラクおよびアフリカからの移民で高かった。両疾患の罹患比は2世でも引き続き高かった。幾つかの国からの移民1世でみられた慢性関節リウマチの低罹患比は、2世では認められなくなっていた。また、強直性脊椎炎の罹患比は、移民2世群と1世群でほぼ同等であった。ポーランド移民1世とユーゴスラビア人およびロシア人の移民2世では、全身性硬化症の罹患比が有意に高かった。ポーランド移民1世の高罹患比は2世には継承されていなかったが、特定のブルーカラー職に従事する群では罹患比が高かった。
結論
自己免疫疾患の罹患比は、移民の出生国により違いがみられた。今回の結果から、自己免疫疾患ごとにその病因には、遺伝的因子と環境因子の両者が関与していることが示唆された。
コメント
自己免疫疾患の発症要因として遺伝的要因と環境要因とがどのように関連しているのかについて移民のデータを用いて検討したものである。疾病の罹患比が移民1世に比べて2世で下がるのであれば環境要因が関係していることが示唆される。本研究は、全身性エリトマトーデスは遺伝的要因が、慢性関節リウマチは環境要因が関係していることを示唆するものである。しかし、研究にはさまざまなバイアスがある。移民の定義、診断定義、移民による受療動向、人種の違いもあり、可能性を示唆するものと理解すべきであるが、参考になるものである。
監訳・コメント:大阪大学大学院医学系研究科 健康政策学 高鳥毛 敏雄先生
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