ペプチジルアルギニンデイミナーゼタイプ4に対する自己免疫と関節リウマチの遺伝子型および重症度との関連
Association of autoimmunity to peptidyl arginine deiminase type 4 with genotype and disease severity in rheumatoid arthritis
Harris ML, Darrah E, Lam GK, Bartlett SJ, Giles JT, Grant AV, Gao P, Scott WW Jr, El-Gabalawy H, Casciola-Rosen L, Barnes KC, Bathon JM, Rosen A.
Johns Hopkins University School of Medicine, Baltimore, Maryland 21224, USA.
Arthritis Rheum. 2008 Jul;58(7):1958-67.
目的
蛋白のシトルリン化は、関節リウマチ(RA)特異的自己抗体によって認識される重要な翻訳後修飾である。シトルリン化酵素の1つであるペプチジルアルギニンデイミナーゼタイプ4(PAD-4)には、いくつかの集団においてRAの発症との遺伝的関連が認められるが、この影響を媒介する機序は未だ明らかになっていない。種々のリウマチ性疾患において、抗PAD-4自己抗体が報告されている。本研究を行った目的は、抗PAD-4抗体がRAに固有のものであるかどうか、また疾患の表現型または重症度に関連しているかどうかについて検討すること、ならびにPAD-4の多型が抗PAD-4自己抗体の反応に影響を及ぼすかどうかについて検討することであった。
方法
RAと確定診断された患者、その他のリウマチ性疾患を有する患者、および健康成人の血清について、in vitro翻訳したPAD-4の免疫沈降による抗PAD-4自己抗体の測定を行った。様々なPAD-4切断体を用いて、抗PAD-4自己抗体が認識したエピトープのマッピングを行った。TaqManアッセイを用いて、RA患者のPAD-4の遺伝子型別を行った。Sharp/van der Heijde法を用いて、手と足のX線写真から関節びらんのスコア評価を行った。
結果
抗PAD-4自己抗体はRA患者の36〜42%でみられたが、対照者では極めてまれであった。抗PAD-4自己抗体による認識にはN末端側の119個のアミノ酸が必要であり、ここには疾患感受性に関連した3種の非同義多型の部位が含まれていた。驚くべきことに、抗PAD-4免疫応答はPADI4のRA感受性ハプロタイプと関連していた。抗PAD-4抗体は、RAにおける重症度の高い関節破壊に関連していた。
結論
今回の結果から、抗PAD-4抗体はRAの特異的マーカーであり、重症度の高い疾患に独立に関連していることが示された。このことから、RAの関節損傷の経路に抗PAD-4免疫応答が関与していることが示唆される。PADI4遺伝子の多型はPAD-4蛋白に対する免疫応答に影響を及ぼしており、疾患の拡大に寄与している可能性がある。
コメント
RA診断の特異マーカーは、今やRFに代わって抗シトルリン化蛋白に対する抗CCP抗体となりつつある。このシトルリン化にPAD-4は関与しているため、PAD-4に対する自己抗体がRA診断のマーカーではないかと考えられていた。結果は、抗PAD-4抗体の存在は診断的に高く、正常人では認められない。しかし、RAの中での存在率は36〜42%であることから、RAの病因は多様であることがこの点からも明らかである。では、PAD-4以外に何がシトルリン化するのかは、現時点では不明である。抗PAD-4抗体が陽性の患者では、関節破壊が強く、この点でも関節破壊をきたしやすい患者として予後を推測するマーカーになると同時に、PAD-4またはその抗体が関節破壊の病態に関与している可能性を示している。
監訳・コメント:大阪大学 先端科学イノベーションセンター 吉崎 和幸先生
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