孤発性ALSにおけるパラオキソナーゼ遺伝子多型に関する大規模国際メタアナリシス
A large-scale international meta-analysis of paraoxonase gene polymorphisms in sporadic ALS
Wills AM, Cronin S, Slowik A, Kasperaviciute D, Van Es MA, Morahan JM, Valdmanis PN, Meininger V, Melki J, Shaw CE, Rouleau GA, Fisher EM, Shaw PJ, Morrison KE, Pamphlett R, Van den Berg LH, Figlewicz DA, Andersen PM, Al-Chalabi A, Hardiman O, Purcell S, Landers JE, Brown RH Jr.
Cecil B Day Neuromuscular Research Laboratory, Massachusetts General Hospital, Charlestown, MA 02129, USA.
Neurology. 2009 Jul 7;73(1):16-24. Epub 2009 Mar 25.
背景
6件の候補遺伝子研究では、パラオキソナーゼ遺伝子座のDNA変異と孤発性筋萎縮性側索硬化症(ALS)との遺伝的関連が報告されている。しかし、5件のゲノムワイド関連研究を含む他のいくつかの大規模研究では、この結果は再現されていない。
方法
パラオキソナーゼ遺伝子座に関する既発表研究10件と未発表研究1件を対象として、メタアナリシスを実施した。ALS患者4,037例と対照者4,609例が対象となり、ALS患者2,018例と対照群2,425例のゲノムワイド関連データが含まれた。
結果
rs662(PON1 Q192R)の固定効果モデルでの統合オッズ比(OR)は1.09(95%信頼区間[CI]1.02〜1.16、P=0.01)、Q192RのRRホモ接合体遺伝子型のORは1.25(95%CI 1.07〜1.45、P=70.0004)、rs854560(PON1 L55M)の統合ORは0.97(95%CI 0.86〜1.10、P=0.62)、rs10487132(PON2)のORは1.08(95%CI 0.92〜1.27、P=0.35)であった。rs662多型はわずかに有意な水準に達していたが、多重検定補正後には、有意な多型は認められなかった。ゲノムワイドデータのある標本(母集団からの外れ値を除く)を対象としたサブ解析では、rs662のORは1.06(95%CI 0.97〜1.16、P=0.22)であった。
結論
過去の肯定的な小規模研究とは対照的に、今回の遺伝学的なメタアナリシスでは、ALSとPON遺伝子座の間に有意な関連は示されなかった。本研究は、ALSの候補遺伝子に関するこれまでで最大のメタアナリシスであるとともに、ゲノムワイド関連研究のデータを含めたALSに関する初のメタアナリシスである。今回の結果から、ALSの遺伝的決定因子について、はるかに大規模でさらに共同的な研究の必要性が強調される。
コメント
ALSは90%が孤発性であるが、すべての疾患がそうであるように、病因解明には遺伝的素因と環境因子の相互関係の検討が必要である。最近のALS研究では、解毒酵素であるparaoxonaseにおけるさまざまな遺伝子多型が報告され、病因との関連が報告されてきた。今回はALSの国際的な大規模メアタナリシスの結果の報告であるが、小規模解析では認められていたALSとPON遺伝子座の有意な関連は示されなかった。negative dataであるが、今後のさらなる大規模な検討への奮起を促す貴重な報告と考えられ取り上げた。
監訳・コメント:大阪府立急性期・総合医療センター 神経内科 狭間 敬憲先生
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