関節リウマチ患者の抗TNF-α療法による治療反応のパワードップラー超音波検査によるモニタリング
Power Doppler ultrasonographic monitoring of response to anti-tumor necrosis factor therapy in patients with rheumatoid arthritis
Naredo E, Möller I, Cruz A, Carmona L, Garrido J.
Hospital Severo Ochoa, Madrid, Spain
Arthritis Rheum. 2008 Aug;58(8):2248-56.
目的
関節リウマチ(RA)における腫瘍壊死因子(TNF)阻害薬に対する治療効果判定としてのパワードップラー超音波検査(PDUS)によるモニタリングの妥当性、治療の有効性および予測能について評価すること。
方法
スペインの25施設にて367例のRA患者を前向きに募集し、うち278例について完全な臨床データ、臨床検査データおよびPDUSデータが得られた。治療前ならびに抗TNF療法から1、3、6および12カ月後に患者の臨床評価、臨床検査およびPDUSによる評価を行い、治療前および12カ月後に手足のX線評価を行った。各来院時に28関節に基づく疾患活動性スコア(DAS28)を記録した。PDUSは、28関節における関節内および関節周囲の86の部位について行った。すべての滑膜部位について、関節液(SF)、滑膜過形成(SH)およびPDのシグナルに関するUSに基づくスコア評価を行った。SF、SHおよびPDのシグナルに関してUSに基づく関節数および指数を求めた。観察者内変動から検出可能な最小差(SDD)を推定することにより、PDUS変数の変化に対する感度を評価した。
結果
フォローアップ評価においてDAS28とPDUSのパラメータに並行して有意な改善がみられた(被験者内の来院間の変化についてP<0.0005)。フォローアップ期間全体にわたり、PDUSのパラメータに関するSDDは平均変化よりも小さかった。PDシグナルとリウマチ因子(RF)に関するUSに基づく関節数の時間積分値からは、X線に基づくびらんの進行に対する予測能が示された(R=0.64)。また、PDシグナル、RFおよび赤血球沈降速度に関するUSに基づく関節数の時間積分値は、X線総スコアの破壊進行に対する予測因子となった(R=0.59)。
結論
これらの結果から、PDUSはRAにおける抗TNF療法に対する有効性評価をモニタリングするための妥当な方法であることが示されている。PDUSによって得られた結果には再現性があり、変化に対する感度がみられる。PDUS所見はX線検査による関節変化に関する予測的能を有する可能性がある。
コメント
RAの関節破壊をモニターするものとして従来関節X線検査が用いられてきた。しかし早期の変化、治療による進行変化をモニターするには、炎症マーカーやリウマチ因子等の生化学的パラメータとの関連性のある検査法が求められていた。今回TNF-α阻害療法を行ったRA患者で、パワードップラー超音波検査(PDUS)を行った結果、生化学的検査と共に治療効果判定にPDUSが有効であることが示された。今後TNF-α療法ばかりでなく、一般の治療あるいは他のサイトカイン治療における関節破壊阻止効果を、PDUSでモニターすることで評価する可能性があることが示された。
監訳・コメント:大阪大学 先端科学イノベーションセンター 吉崎 和幸先生
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