セレギリンの不足:
ジェネリック薬不足の原因とコスト
Selegiline shortage:
Causes and costs of a generic drug shortage
Dorsey ER, Thompson JP, Dayoub EJ, George B, Saubermann LA, Holloway RG.
Department of Neurology, University at Buffalo, NY, USA
Neurology 2009 Jul 21;73(3):213-7.
背景
2007年9月に、セレギリンのジェネリック薬が不足し、患者がより高価な代替薬や先発薬に切り替えざるを得ない事態となった。セレギリンのジェネリック薬の処方傾向を評価し、不足の結果生じた、より高価な代替薬による代用の経済的影響を定量化することを試みた。
方法
2002年2月〜2007年12月の、米国におけるセレギリンおよび代用となる薬剤の月間処方数について、IMS Health社が所有する独自のデータを解析した。線形回帰により、不足状態に陥らなかった場合の2007年8月以降の処方数を推定した。主要評価項目は、調剤された処方数の変化と薬剤代用の経済的影響とした。
結果
不足前の期間には、セレギリンのジェネリック薬が調剤された処方数が42%減少していた。この間、供給はApotex Inc.社(カナダ、トロント)1社に集約され、同社の市場シェアは41%から83%に増加していた。不足状態の当初4カ月間では、Apotex Inc.社の薬剤が調剤された処方は推定よりも10,500件少なく、他のセレギリン製造業者の薬剤が調剤された処方は推定よりも7,400件以上多かった。3,100件の処方分が正味不足していた。同期間中に調剤されたセレギリンの先発薬のカプセル数は、推定よりも1,800件多かった。セレギリンのジェネリック薬に対する処方1,300件は、再調剤または代用の調剤もされなかった。セレギリンの先発薬カプセルによるジェネリック薬の代用に要した社会的費用は、不足状態の当初4カ月間で75,000ドルであった。
結論
ジェネリック薬の不足は、経済および健康に影響を及ぼす。ジェネリック医薬品業界での合併の進行を受けて、このような不足状態がさらに一般化する可能性があり、ジェネリック医薬品業界に対する行政監視強化が必要である。
コメント
様々な理由、特に経済効果を期待し、ジェネリック薬品の使用頻度が増加してきた。本論文はジェネリック業界に対する行政の管理不足によるジェネリック薬使用時のデメリットを指摘したものであるが、私共医療従事者はジェネリック薬品を使用する際、メリット、デメリットをよく知った上で使用しなければならない。経済最適性と医療最適性の両者のバランスを考えながら患者中心の医療をすべきであると常に考えている。
監訳・コメント:大阪府立急性期・総合医療センター 神経内科 狭間 敬憲先生
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