死亡前3カ月間における安楽死および他の終末期ケアの決定と、提供されるケアの状況との関連に関する研究:ベルギーの全国規模レトロスペクティブ研究から
Euthanasia and other end of life decisions and care provided in final three months of life: nationwide retrospective study in Belgium
Van den Block L, Deschepper R, Bilsen J, Bossuyt N, Van Casteren V, Deliens L.
Vrije Universiteit Brussel, End-of-Life Care Research Group, Laarbeeklaan 103, 1090 Brussels, Belgium
BMJ 2009 Jul 30 ;339:b2772 doi:10.1136/bmj.b2772
目的
ベルギーにおける、死亡前3カ月間に提供されたケアと、安楽死と他の終末期治療ケア選択に関係している要因を明らかとすること。
デザイン
2005〜2006年の2年間にわたる全国規模の調査に基づくレトロスペクティブ研究(SENTI-MELC研究)。
調査対象
ベルギー国内すべての開業医を対象とした定点ネットワークから収集したデータ。
分析対象
定点ネットワークに登録している開業医が関係した突然死以外の死亡数は1,690例であった。
主要評価項目
毎週報告された突然死以外の死亡例(年齢1歳超)と、死亡前3カ月間に提供が報告されたケアの状況と終末期ケアの意思決定との間の関係について、多変量回帰分析により年齢、性別、死因、死亡場所を補正して分析した。
結果
専門家による集学的緩和ケアは、苦痛の大幅な軽減(オッズ比〔OR〕2.1、95%信頼区間1.6〜2.6)、栄養および水分補給を停止した状態下での深い鎮静剤持続投与(OR 2.9、1.7〜4.9)、および死を早める意図が明確な意思決定(OR 1.5、1.1〜2.1)と関連していた。しかし、集学的緩和ケアを行ったことと安楽死および医師幇助自殺との間には特に関連はみられなかった。精神的ケアを十分に受けた者では、ほとんど受けない者と比較して、安楽死および医師による自殺幇助自殺の頻度が高かった(OR 18.5、2.0〜172.7)。
結論
ベルギーにおいて、死期を早めるような終末期ケアの意思決定は、安楽死および医師幇助自殺を含め、緩和ケアが十分提供されていない者よりも、緩和ケアに関して濃厚な集学的ケアを受けている者において多くみられた。
コメント
死期を早める緩和ケア治療、安楽死、自殺幇助は、どのような終末期のケア内容と関係しているのかをみようとしたものである。調査の結果、十分な集学的終末期ケアを受けている者の方が、延命だけを目的としたケアを受けていない状況を明らかとしたものである。わが国では、患者の終末期は苦痛に苛まれたものとなりがちであるが、患者のQOLを中心に据えた終末期ケアが開業医レベルで行われているベルギーの現状を示したものである。
監訳・コメント:大阪大学大学院医学系研究科 健康政策学 高鳥毛 敏雄先生
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