多発性硬化症におけるparent-of-origin効果:
異人種間交配の観察研究
Parent-of-origin effect in multiple sclerosis:
CObservations from interracial matings
Ramagopalan SV, Yee IM, Dyment DA, Orton SM, Marrie RA, Sadovnick AD, Ebers GC; Canadian Collaborative Study Group.
Wellcome Trust Centre for Human Genetics, University of Oxford, Headington.
Neurology 2009 Aug 25;73(8):602-5. Epub 2009 Jun 10.
背景
多発性硬化症(MS)は複雑な神経疾患であり、極端な地理的分布の偏りを示す。カナダでは、北欧系白人で有病率が高く、現在その多くが白人との混血である北米先住民ではまれである。
方法
MSの感受性遺伝子解析に関するカナダでの集団ベースの共同プロジェクト研究において、MSの発端者30,000例のデータベースから、白人と北米先住民を両親に持つ58例の特性を明らかにした。
結果
白人の母親と北米先住民の父親を持つMS発端者では、北米先住民の母親と白人の父親を持つ患者よりも同胞再発危険率が高く、女性対男性比が大きい(P=0.043)ことが認められた。
結論
異母(父)兄弟(姉妹)および両親の兄弟(姉妹)との一対に関する研究でも、白人と北米先住民の交配には、多発性硬化症の病因における母系のparent-of-origin効果が認められており、さらなる研究が必要である。罹患した子供の性比には、母系のリスク伝播による特異的な影響があることが示唆される。今回用いた分析手法は、混血児のコホートにおけるparent-of-origin効果の検出にとってより重要な意味を持つと考えられる。
コメント
MSは自己免疫疾患と考えられているが、発症に関しての地理的要因が指摘されており、白人系に多いと言われてきた。本報告は異人種間交配の観察により、MSの疾患感受性因子の大きな一つが白人女性特有のものであることを支持したものである。日本では比較的混血が少なく、このような研究方法を実施することは困難であり、結果は勿論のこと、研究方法にも興味があり取り上げた。
監訳・コメント:大阪府立急性期・総合医療センター 神経内科 狭間 敬憲先生
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