TAG-1の一塩基多型は日本人CIDP患者のIVIg反応性に影響する
Single nucleotide polymorphism of TAG-1 influences IVIg responsiveness of Japanese patients with CIDP
Iijima M, Tomita M, Morozumi S, Kawagashira Y, Nakamura T, Koike H, Katsuno M, Hattori N, Tanaka F, Yamamoto M, Sobue G.
From the Department of Neurology (M.I., M.T., S.M., Y.K., T.N., H.K., M.K., N.H., F.T., G.S.), Nagoya University Graduate School of Medicine; Institute for Advanced Research (M.K.), Nagoya University; and Department of Speech Pathology and Audiology (M.Y.), Aichi Gakuin University School of Health Science, Aichi, Japan.
Neurology. 2009 Sep 23. [Epub ahead of print]
目的
慢性炎症性脱髄性多発ニューロパシー(CIDP)は、免疫介在性の末梢性神経の脱髄病変を特徴とする。コルチコステロイド、免疫グロブリン大量静注療法(IVIg)、および血漿交換法が最も有効な治療法として確立されているが、一部の患者は、いずれの治療にもほとんど、あるいはまったく反応しない。本研究では、特定の遺伝的要因がCIDP患者の治療反応性に影響するかどうかを検討した。
方法
本試験には、IVIg療法に対する反応例ないし非反応例として分類された日本人患者100例が参加した。一塩基多型(SNP)の関連解析と、IVIg反応例と非反応例の間のハプロタイプ解析を実施した。
結果
TAG-1(transient axonal glycoprotein 1)とCLEC10A(C型レクチンドメインファミリー10、メンバーA)に相当する2つのSNPには、反応例と非反応例の間で大きな有意差が認められた。TAG-1およびCLEC10Aの一連の高密度SNPのハプロタイプ解析では、1つの連鎖不平衡ブロック内に有意なハプロタイプが含まれていたのはTAG-1のみであった。これらのハプロタイプは、IVIg反応性と関連していた。TAG-1のディプロタイプ解析からも、この所見が裏付けられた。
結論
日本人CIDP患者において、TAG-1は、IVIg反応性に影響するきわめて重要な分子である。
コメント
CIDPに対するIVIg療法の有効性は確立しているが、時に無効例を経験する。本論文はRanvier結節およびその近傍に存在し、軸索とSchwann細胞との相互関係に重要な役割を持つ分子と考えられているTAG-1のSNPが、CIDPに対するIVIg療法の有効性に影響することを指摘したものである。ヒトゲノム解析の進歩により、遺伝的背景に基づいた治療、すなわちテーラーメイド医療もしくはオーダーメイド医療がこれからの治療法の主流になるであろう。副作用の撲滅や、経済最適性にも通じることであり、これら検査法の簡便性の確立が待たれる。
監訳・コメント:大阪府立急性期・総合医療センター 神経内科 狭間 敬憲先生
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