インフリキシマブ投与を受けた関節リウマチ患者におけるニューモシスチス肺炎:21例に関する後向き検討と症例対照研究
Pneumocystis jiroveci pneumonia in patients with rheumatoid arthritis treated with infliximab: a retrospective review and case-control study of 21 patients
Komano Y, Harigai M, Koike R, Sugiyama H, Ogawa J, Saito K, Sekiguchi N, Inoo M, Onishi I, Ohashi H, Amamoto F, Miyata M, Ohtsubo H, Hiramatsu K, Iwamoto M, Minota S, Matsuoka N, Kageyama G, Imaizumi K, Tokuda H, Okochi Y, Kudo K, Tanaka Y, Takeuchi T, Miyasaka N.
Tokyo Medical and Dental University, Tokyo, Japan.
Arthritis Rheumatism 2009 Mar; 61(3):305-12
目的
インフリキシマブ投与を受けた関節リウマチ(RA)患者のニューモシスチス肺炎(PCP)に対する適切な管理法を確立すること。日本ではPCPはインフリキシマブ投与RA患者の0.4%に認められる。
方法
日本の14のリウマチ専門医療機関において、インフリキシマブ投与中にPCPと診断されたRA患者(21例)のデータと、インフリキシマブ治療中にPCPを発症しなかったRA患者102例のデータを収集した。これらの患者の後向き検討、ならびにPCPのみられた患者とみられなかった患者を比較するための症例対照研究を行った。
結果
インフリキシマブの初回点滴からPCP発症までの期間の中央値は8.5週間であった。PCP発症時点におけるプレドニゾロンおよびメトトレキサートの投与量の中央値はそれぞれ7.5 mg/日および8 mg/週であった。ニューモシスチス肺炎菌を調べるためのポリメラーゼ連鎖反応検査では20例が陽性であったが、顕微鏡下で同菌が確認されたのは2例のみであった。PCPのみられた患者ではPCPのみられなかった患者に比べ血清アルブミン値が有意に低く(P<0.001)、また血清IgG値が有意に低かった(P<0.001)。胸部コンピュータ断層撮影では、PCPのみられた患者全例において、小葉間隔壁による鮮明な境界がみられるかまたは小葉間隔壁の境界がみられないすりガラス様陰影があることが明らかとなった。PCPのみられた患者21例のうちの16例は急性呼吸不全を発症したが、全例が生存した。
結論
PCPはRA患者においてインフリキシマブ治療コースの初期に起こる可能性のある重篤な合併症である。この感染症の適切な臨床管理のためには、インフリキシマブ治療中におけるPCP発症の可能性について認識しておく必要がある。
コメント
インフリキシマブ投与によりPCP発症が増加すると言われていたが、客観的な評価はできなかった。今回、リウマチ学会が主導する臨床研究により、実際にPCPが増加し、しかも治療早期に合併がみられることが示された。インフリキシマブ療法の注意点として有用な所見である。
監訳・コメント:大阪大学 先端科学イノベーションセンター 吉崎 和幸先生
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