イングランドおよびウェールズにおける男女別の骨粗鬆症性骨折リスクの予測:QFractureScoreの前向き調査による抽出と評価検証
Predicting risk of osteoporotic fracture in men and women in England and Wales: prospective derivation and validation of QFractureScores
Hippisley-Cox J, Coupland C
Division of Primary Care, Tower Building, University Park, Nottingham
BMJ 2009 Nov 19;339:b4229. doi: 10.1136/bmj.b4229
目的
2つの新たな骨折リスクアルゴリズム(QFractureScore)指標を開発し、10年以上にわたり骨粗鬆症性骨折または股関節骨折の個別のリスク評価が可能かどうかを検証する。
デザイン
スコア開発には一般診療を行っている357一般医診療施設を、スコアの検証には178一般医診療施設を用いて、日常診療の中で収集したデータによる前向き非盲検研究方法で行った。
調査対象
イングランドおよびウェールズの一般医の診療施設。
分析対象
抽出コホートは30〜85歳の女性患者1,183,663例および男性患者1,174,232例であり、観察人年はそれぞれ7,898,208人年および8,049,306人年であった。骨粗鬆症性骨折発症の診断を受けた女性患者は24,350例、男性患者は7,934例であった。股関節骨折発症の診断を受けた女性患者は9,302例、男性患者は3,067例であった。
主要評価項目
骨粗鬆症性骨折(脊椎、橈骨遠位端、または股関節)の初回(発症)診断および一般医の診療記録に記載されていた股関節骨折発症とした。
結果
ホルモン補充療法(HRT)、年齢、肥満度指数(BMI)、喫煙状態、飲酒の記録、親の骨粗鬆症性骨折歴、関節リウマチ、心血管疾患、2型糖尿病、喘息、三環系抗うつ薬、コルチコステロイド、転倒歴、更年期障害、慢性肝疾患、消化不良、およびその他の内分泌疾患は、女性患者の骨粗鬆症性骨折リスクと有意に、かつ独立して関連していた。一部の変数は骨粗鬆症性骨折リスクと有意に関連したが、股関節骨折には関連がみられなかった。男性患者での骨粗鬆症性骨折および股関節骨折の予測因子は、年齢、BMI、喫煙状態、飲酒の記録、関節リウマチ、心血管疾患、2型糖尿病、喘息、三環系抗うつ薬、コルチコステロイド、転倒歴および肝疾患であった。股関節骨折のアルゴリズムは男女ともに最高の成績を示し、女性患者の変動の63.94%、男性患者の変動の63.19%を説明できた。識別D統計量は女性(2.73)および男性(2.68)の股関節骨折で最高値であり、骨粗鬆症性骨折の識別D統計量の2倍超であった。股関節骨折のROC統計量も高値得を示し、女性患者0.89および男性患者0.86であったのに対し、骨粗鬆症性骨折ではそれぞれ0.79および0.69であった。本アルゴリズムは予測リスクを良好に較正し、観察されたリスクに極めて一致した。また、股関節骨折に関するQFractureScoreは、FRAX(骨折リスク評価)アルゴリズムに比べて識別および較正に関して有用であった。
結論
今回開発・検証した新たなアルゴリズム(スコア)は、英国のプライマリケア集団において、臨床診断検査を要することなく骨折リスクの予測が可能であり、このため臨床状況および自己評価(www.qfracture.org)の両面で使用に適していた。また、QFractureScoreは、リスク減少の介入が有益である骨折リスクの高い患者をふるい分けするうえで有用なものであった。
コメント
イギリスは、人頭払い方式の一般医(GP)に地域の人々のほとんどの者が登録して健康管理とプライマリケアが提供されている。一般医が受診者をふるい分けて、予防的な指導を行ったり、専門的な治療が必要なものを後方の病院に紹介するゲートキーパーとしての役割を果たしている。本研究はこのような医療制度の中で行われたものである。高齢社会の中で骨粗鬆症による骨折予防として一般医の診療の場で使える簡易なスコアを開発し、予防的な介入が必要な者をピックアップできるかどうかを検討したものである。
監訳・コメント:大阪大学大学院医学系研究科 健康政策学 高鳥毛 敏雄先生
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