視神経脊髄炎:in vivoにおける患者由来免疫グロブリンの病原性
Neuromyelitis Optica: Pathogenicity of Patient Immunoglobulin In Vivo
Bradl M, Misu T, Takahashi T, Watanabe M, Mader S, Reindl M, Adzemovic M, Bauer J, Berger T, Fujihara K, Itoyama Y, Lassmann H.
Department of Neuroimmunology, Medical University Vienna, Center for Brain Research, Vienna, Austria.
Ann Neurol 2009;66:630–43
背景
脊髄および視神経における顕著な脱髄を伴う重度の炎症とアストロサイトの減少は、視神経脊髄炎(NMO)の典型的な病理学的特徴である。同疾患の診断的特徴は、アストロサイトに発現する水チャネルアクアポリン-4(AQP-4)に対する血清自己抗体の存在である。
方法
Lewisラットに急性T細胞介在性実験的自己免疫性脳脊髄炎を誘発させ、AQP-4抗体陽性および陰性のNMO患者、多発性硬化症患者、ならびに対照被験者由来の免疫グロブリンをさらに投与した。
結果
AQP-4抗体陽性NMO患者由来の免疫グロブリンは病原性を有する。実験動物の免疫グロブリンの血清力価がNMO患者と同程度に達した場合、臨床症状が増悪し、構造や分布がNMO患者に類似した中枢神経系病変が惹起される。すなわち、血管周囲および脳表面のグリア境界膜のアストロサイト突起に存在するAQP-4およびアストロサイトの減少、顆粒球浸潤、T細胞および活性化マクロファージ/ミクログリア細胞、大量の免疫グロブリンおよび補体沈着である。しかし、NMO患者由来のAQP-4抗体含有免疫グロブリンを、未処置のラット、血液脳関門からの漏出が認められる幼若ラット、および非脳炎誘発性T細胞株の移植後に注射した場合には、疾患や神経病理学的変化は惹起されなかった。また、NMO患者由来の免疫グロブリンをAQP-4導入細胞に吸収させた場合、AQP-4抗体価は低下し、移植後のアストロサイトの病理学的特徴は減少したが、疑似導入した対照細胞を用いた場合にはこれらの効果は認められなかった。
結論
ヒト抗AQP-4抗体はNMOの診断に重要であるだけでなく疾患を増悪させ、T細胞介在性脳炎を誘発させた動物においてNMO様病変を惹起する。
コメント
AQP4抗体が特異的にNMOを惹起する自己抗体であることをin vivoで初めて証明した論文である。その標的抗原はアストロサイトであった。一方NMOはMSの亜型と考えられてきたが、MSでは特異的に障害され、標的抗原と考えられている髄鞘に対する自己抗体はいまだ証明されていない。MSの病態解析や疾患分類を考える上でも貴重な報告である。
監訳・コメント:大阪府立急性期・総合医療センター 神経内科 狭間 敬憲先生
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