C反応性蛋白と冠動脈疾患、脳卒中、死亡のリスクとの関連:個々の患者データによるメタアナリシス
C-reactive protein concentration and risk of coronary heart disease, stroke, and mortality: an individual participant meta-analysis
The Emerging Risk Factors Collaboration
Lancet. 2009 Dec 21. [Epub ahead of print]
背景
C反応性蛋白(CRP)値と主要疾患のリスクとの関連は多数の患者を対象とした長期前向き追跡調査により最も的確に評価できる。我々は様々な状況の下で行われた研究論文をもとに、CRP値と血管疾患および非血管疾患の予後リスクとの関連を検討した。
方法
長期前向き研究の54件の論文データを用いて、血管疾患歴のない患者160,309例(131万リスク人年、致死的または非致死的疾患の予後27,769件)の個人医療記録を用いてメタアナリシスを行った。研究内の回帰分析により個人内の危険因子レベルの変動を補正した。
結果
loge CRP値は、数種の従来の危険因子および炎症マーカーとの間に比例関係を有し、虚血性血管疾患のリスクおよび非血管疾患による死亡リスクとの間にはほぼ対数線形性がみられた。loge CRP値1 SD上昇(CRP値は3倍上昇)ごとの冠動脈疾患のリスク比(RR)は、年齢および性別のみを補正した場合は1.63(95%CI 1.51〜1.76)、さらに従来の危険因子を補正した場合では1.37(1.27〜1.48)であった。虚血性脳卒中のRRはそれぞれ1.44(1.32〜1.57)および1.27(1.15〜1.40)、血管疾患による死亡のRRはそれぞれ1.71(1.53〜1.91)および1.55(1.37〜1.76)、非血管疾患による死亡のRRはそれぞれ1.55(1.41〜1.69) および1.54(1.40〜1.68)であった。喫煙患者を除外した場合および初期の追跡期間経過後に転帰を示した患者に限定した場合も、概ねRRに変化はなかった。さらにフィブリノゲンについて補正したところ、同RRは冠動脈疾患では1.23(1.07〜1.42)、虚血性脳卒中では1.32(1.18〜1.49)、血管疾患による死亡では1.34(1.18〜1.52)、非血管疾患による死亡では1.34(1.20〜1.50)であった。
解説
CRP値は、冠動脈疾患、虚血性脳卒中、血管疾患による死亡、および数種の癌や肺疾患による死亡のリスクと、それぞれほぼ同程度に連続的な関連を示していた。CRP値がこれらの様々な疾患に実際重要であるか否かは不明である。虚血性血管疾患との関連は従来の危険因子および他の炎症マーカーに大きく左右される。
資金提供
イギリス心臓病支援基金、英国医学研究審議会、BUPA(British United Provident Association)基金、およびグラクソスミスクライン
コメント
CRPは炎症性蛋白として有名なものである。陽性の場合は、炎症性の疾患が疑われるが、リウマチ熱、リウマチ様関節炎などの難病を有していることも疑われる。近年は、虚血性血管障害、糖尿病、がん、肉腫などの生活習慣病リスク者の予測に有用であることが知られるようになってきた。本論文は、生活習慣病に何らかの炎症メカニズム、生体の免疫反応が関係していることを、多数の疫学研究論文を総合的に分析する研究手法で示したものである。胃がんの背後にピロリ菌が、子宮頸がんの背後にはパピローマウイルスがあることが明らかになってきたように、これから様々な難病についても病原体が明らかになっていくような予感がする。
監訳・コメント:大阪大学大学院医学系研究科 健康政策学 高鳥毛 敏雄先生
PudMed: