インターロイキン33シグナル伝達の阻害により実験的関節炎の重症度が低下する
Inhibition of interleukin-33 signaling attenuates the severity of experimental arthritis
Palmer G, Talabot-Ayer D, Lamacchia C, Toy D, Seemayer CA, Viatte S, Finckh A, Smith DE, Gabay C.
University Hospital of Geneva, and University of Geneva School of Medicine, Geneva, Switzerland.
Arthritis Rheum. 2009 Mar;60(3):738-49
目的
IL-1ファミリー受容体T1/ST2のリガンドとして、インターロイキン33(IL-33またはIL-1F11)が最近同定された。本研究の目的は、ヒトおよびマウスの関節におけるIL-33産生について検討し、実験的関節炎におけるIL-33とT1/ST2の役割について調べることであった。
方法
ヒト滑膜組織、関節リウマチ(RA)滑膜線維芽細胞、および関節炎マウスの関節におけるIL-33発現について検討した。コラーゲン誘導関節炎(CIA)マウスに対し、疾患発症の時点から、ST2に対する遮断抗体または対照抗体を投与した。臨床スコアリングおよび組織学的スコアリングにより、関節炎の重症度を評価した。所属リンパ節(LN)細胞の応答をex vivoで検討し、関節のメッセンジャーRNA(mRNA)を用いて発現プロファイリングを行った。
結果
IL-33はヒトRA滑膜で高度に発現されていた。培養滑膜線維芽細胞では、IL-1βおよび/またはTNF-αによってIL-33発現が強く誘導された。さらに、CIAマウスの関節でIL-33 mRNAが検出され、疾患初期にその上昇が認められた。発症時点でST2に対する遮断抗体を投与すると、CIAの重症度が低下し関節破壊が減少した。抗ST2抗体を投与すると、ex vivo刺激した所属リンパ節細胞において、インターフェロンγ産生の著明な低下、ならびにこれよりも小さなIL-17産生低下が認められた。また、抗ST2抗体の投与により、関節におけるRANKL mRNAのレベルが低下した。
結論
IL-33は炎症関節で局所的に産生され、IL-33シグナル伝達を抗体により阻害すると関節炎に対する治療効果が得られる。これらの観察結果から、局所的に産生されたIL-33が関節の炎症と破壊の病変形成に関与していることが示唆される。
コメント
関節リウマチ(RA)の発症、病態形成に多くのサイトカインの関与が認められ、すでにTNF-α、IL-1β、IL-6の関与は、その作用阻害薬を用いた治療効果によって証明されている。今回、IL-1ファミリーの受容体(ST2)をリガンドとするIL-33の機能を抗ST2抗体で阻害することによって、IFN、IL-17の産生低下に加えて、関節炎モデルにて関節炎の炎症抑制、ならびに関節破壊が減少した。このことはRAの発症にIL-33が関与し、LI-33の機能を抑制したことから、新たな抗サイトカイン療法、すなわち抗ST2抗体を用いた治療の開発が示唆される。
監訳・コメント:大阪大学 先端科学イノベーションセンター 吉崎 和幸先生
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