GATA-3は実験的関節炎における重度の関節炎症と骨びらんを防ぎTh17細胞分化を抑制する
GATA-3 protects against severe joint inflammation and bone erosion and reduces differentiation of Th17 cells during experimental arthritis
van Hamburg JP, Mus AM, de Bruijn MJ, de Vogel L, Boon L, Cornelissen F, Asmawidjaja P, Hendriks RW, Lubberts E.
Erasmus Medical Center Rotterdam, Rotterdam, The Netherlands.
Arthritis Rheum. 2009 Mar;60(3):750-9.
目的
関節リウマチでは、関節へのTヘルパー細胞の浸潤が起こる。インターフェロンγ(IFNγ)産生Th1細胞または新たなTヘルパー細胞サブセットであるインターロイキン-17(IL-17)産生Th17細胞が、非自己免疫性の慢性関節炎における関節炎症の病原となるメディエーターであるかどうかについては明らかとなっていない。このため本研究では、実験的マウスモデルを用いて、Th2特異的転写因子であるGATA-3が、Th1細胞および/またはTh17細胞の極性化を調節することにより関節炎を抑制できるかどうかを検討することを目的とした。
方法
メチル化ウシ血清アルブミン(mBSA)を用いて、野生型マウスとCD2発現T細胞特異的GATA-3(CD2-GATA-3)トランスジェニックマウスの両方に関節炎を誘導した。関節炎誘導後1日目と7日目に、膝関節における関節炎重症度と組織学的変化についての肉眼的スコア評価を行った。脾臓、リンパ節、および炎症膝関節から単細胞懸濁液を調製した。フローサイトメトリーを用いてCD4+T細胞におけるサイトカイン発現について調べ、酵素免疫測定法(ELISA)により炎症膝関節におけるIL-17発現について調べた。また、Th17関連因子について遺伝子発現解析を行った。
結果
野生型マウスでは、大量の炎症性細胞の浸潤および経時的に有意に拡大する骨びらんを伴う重度の関節炎症が認められ、関節炎スコアは7日目に最大値に達した。これに対し、CD2-GATA-3トランスジェニックマウスでは軽度の関節炎症が認められたのみであった。この小さな効果には、さらにIL-17+IFNγ- CD4+ T細胞数とIL-17+IFNγ+ CD4+ T細胞数の全身および局所での減少が認められ(IL-17-IFNγ+ CD4+ T細胞数の減少は認められない)、またTh2サイトカインの発現誘導が伴っていた。さらに、GATA-3の過剰発現により、Th17関連転写因子であるレチノイン酸関連オーファンレセプターγtの遺伝子発現が低下した。
結論
これらの結果から、mBSA誘導関節炎マウスにGATA-3を強制発現させると重度の関節炎症と骨びらんに対する保護作用が得られ、これにはTh17細胞の分化抑制が伴うがTh1細胞の分化抑制は伴わないことが示されている。
コメント
Th17細胞は自己免疫疾患発症関連T細胞であるが、非自己免疫性関節炎でも発症に関連するかどうか不明であった。この研究で、Th2を増強することにより症状が軽減し、Th17細胞の減少が認められたことにより、また関連遺伝子の低下によることが示されたため、Th17細胞が発症に関連することが示唆された。
監訳・コメント:大阪大学 先端科学イノベーションセンター 吉崎 和幸先生
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