慢性炎症性脱髄性多発ニューロパシーに対するインターフェロンβ-1aの筋肉内投与
Intramuscular interferon beta-1a in chronic inflammatory demyelinating polyradiculoneuropathy
Hughes RA, Gorson KC, Cros D, Griffin J, Pollard J, Vallat JM, Maurer SL, Riester K, Davar G, Dawson K, Sandrock A; For the Avonex® CIDP Study Group.
Department of Neurology, St. Elizabeth's Medical Center, 736 Cambridge Street, Boston
Neurology. 2010 Feb 23;74(8):651-657.
背景
慢性炎症性脱髄性多発ニューロパシー(CIDP)の免疫学的特徴は、多発性硬化症(MS)と類似している。インターフェロンβ-1aの筋肉内投与(IM IFNβ-1a)はMSに有効かつ安全な治療法であるため、CIDP患者を対象としたIFNβ-1aの用量設定有効性試験を実施した。
方法
この32週間の二重盲検試験には、IV免疫グロブリン(IVIg)依存性CIDP(67例)を有する成人患者を登録し、IM IFNβ-1a 30μg週1回+プラセボ(12例)、IM IFNβ-1a 60μg週1回+プラセボ(11例)、IM IFNβ-1a 30μg週2回(11例)、IM IFNβ-1a 60μg週2回(11例)、プラセボ週2回(22例)のいずれかを投与する群に無作為に割り付けた。被験者には、16週目までIVIgを投与した後に中断した。悪化した患者にはIVIg投与を再開した。主要転帰は16〜32週目に投与されたIVIgの総量(g/kg)とした。
結果
16週目以降に投与されたIVIgの総量には、IFNβ-1a群(1.20g/kg)とプラセボ群(1.34g/kg)の間で差はなかった(P=0.75)。しかし予備解析では、ベースラインで高用量のIVIg(>0.95g/kg/月)が必要であった被験者および筋力が低かった被験者(英国医学研究審議会(Medical Research Council:MRC)合計スコア<51)では、プラセボに比べて、IFNβ-1aによりIVIgの総投与量が有意に減少したことが示唆された。IFNβ-1a投与群でみられた有害事象は、インフルエンザ様症状、頭痛、疲労などであった。
結論
慢性炎症性脱髄性多発ニューロパシー患者において、IFNβ-1aによる治療には、IVIg療法単独を上回る有意な有益性は認められなかった。しかし、IFNβ-1aは、障害がより重度の患者や高用量のIVIgを要する患者では有益である可能性がある。
コメント
CIDPは慢性進行性、再発寛解を繰り返す多発ニューロパチーであり、γグロブリンが有効な場合が多いが、その場合は治療期間が長期にわたることによる高額医療費が問題となり、さらに可能な治療方法に抵抗性を示す重症例も多く、昨年度から厚生労働省が特定疾患に指定した難病である。一方、多発性硬化症でインターフェロンβ-1aの再発防止に対する有効性が確立していることから、類似の免疫学的特徴を示すと考えられているCIDPでも使用が試みられてきたが、無効であるとの結論が出されつつある。今回のデータもやはりnegativeであったが、重症例には効果がある可能性も示唆される報告であり、重症患者にとっては朗報で、今後も引き続き検討が必要と考えられる。
監訳・コメント:大阪府立急性期・総合医療センター 神経内科 狭間 敬憲先生
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