乾癬および乾癬性関節炎の治療におけるエタネルセプトの2通りの投与方式の比較:無作為化二重盲検多施設共同のPRESTA試験
Comparison of two etanercept regimens for treatment of psoriasis and psoriatic arthritis: PRESTA randomised double blind multicentre trial
Sterry W, Ortonne JP, Kirkham B, Brocq O, Robertson D, Pedersen RD, Estojak J, Molta CT, Freundlich B.
Department of Dermatology and Allergy, Charité University Medicine 10117, Berlin, Germany.
BMJ. 2010 Feb 2;340:c147. doi: 10.1136/bmj.c147.
目的
乾癬性関節炎を合併した乾癬患者の皮膚症状について、エタネルセプトを2通りの方式で12週間投与して有効性を比較すること、およびその後さらに12週間オープンラベルでエタネルセプトを投与して有効性と安全性を評価すること。
デザイン
外来患者を対象とした無作為化二重盲検多施設共同試験
施設
欧州、南米、およびアジア太平洋地域の外来診療所98施設。
対象
乾癬(皮膚科医が評価)と乾癬性関節炎(リウマチ専門医が評価)の両方を有する患者752例。
治療法
盲検期間中は、エタネルセプト50mgを週2回(379例)または週1回(373例)投与する群に患者を無作為化し、皮下注射にて12週間投与した。その後の12週間は、割り付けに対する盲検性を保ったままで、全患者にエタネルセプト50mgを週1回、オープンラベルで投与した。
主要エンドポイント
有効性の主要エンドポイントは、医師による全般的評価(physician’s global assessment:PGA)で評価した乾癬の症状が、12週時点で「clear(病変消失)」または「almost clear(ほぼ病変消失)」であった患者の割合とした。有効性の副次的エンドポイントは、乾癬の面積と重症度の指標(psoriasis area and severity index:PASI)、米国リウマチ学会の基準による反応率(American College of Rheumatology[ACR]response)、乾癬性関節炎の反応基準(psoriatic arthritis response criteria:PsARC)、および関節と腱の症状の改善の度合いなどとした。
結果
12週時点の乾癬の症状がPGAで「clear」または「almost clear」であった者の割合は、エタネルセプト50mg週2回投与群で46%(176/379例)であったのに対し、週1回投与群では32%(119/373例)であった(P<0.001)。これに対してPsARCを達成した患者の割合は、両群で同程度に高かった(週2回投与群77%[284/371例]、週1回投与群76%[282/371例])。PASIのベースラインからの減少の平均値は、12週時点では週2回投与群で週1回投与群よりも大きかったが(71%対62%、P<0.001)、24週時点では群間差が減少した(78%対74%、P=0.110)。関節と腱の症状のベースラインからの改善は、両群で同程度であった。いずれの群においても安全性に関する新規の事象は認められず、安全性プロファイルに有意差はなかった。
結論
活動性の乾癬と活動性の乾癬性関節炎を有する患者において、乾癬に対する初期治療としてのエタネルセプト50mg週2回投与は、週1回投与よりもすみやかに皮膚病変を改善する可能性がある。50mg週1回投与は、関節と腱の症状の治療に適していると考えられる。どちらの治療法を選択するかは、個々の患者における臨床上の必要性に基づいて決定すべきである。
試験登録
Clinical trials NCT00245960
コメント
自己免疫疾患患者の治療に、免疫学の進歩によって開発されてきた生物学的製剤が使用されている。エタネルセプトもその一つであり、完全ヒト型可溶性TNFα/ILαレセプター製剤である。炎症発生プロセスに重要な役割を果たしているTNFに結合することで、TNFを生物学的に不活化させ、さらにILαにも結合して炎症を抑制する作用もある。免疫を抑制することから、重篤な感染症(日和見感染症など)、結核などの発症・顕在化・悪化などに十分に注意し投与する必要がある。エタネルセプトは乾癬、乾癬性関節炎の患者の治療に効果があることは実証済みであるが、本論文は週2回と、週1回の投与で効果の差があるかどうかを検討したものである。
監訳・コメント:大阪大学大学院医学系研究科 健康政策学 高鳥毛 敏雄先生
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