強皮症に関連した肺高血圧症における生存率:間質性肺疾患の影響
Survival in pulmonary hypertension associated with the scleroderma spectrum of diseases: impact of interstitial lung disease
Mathai SC, Hummers LK, Champion HC, Wigley FM, Zaiman A, Hassoun PM, Girgis RE.
Johns Hopkins University School of Medicine, Baltimore, Maryland, USA.
Arthritis Rheum. 2009 Feb;60(2):569-77.
目的
肺高血圧症(PH)は全身性硬化症(SSc)における重要な死因であるが、これは孤発性のもの(肺動脈高血圧症[PAH])である場合と、間質性肺疾患(ILD)に伴ったものである場合とがありうる。本研究の目的は、このいずれかの種類のPHを併存し、PAHに対する選択的治療を受けたSSc患者の生存率の決定要因を明らかにすることであった。
方法
右心カテーテル検査によりPAHまたはILDに伴ったPHであると確定診断されたSSc患者を本研究の対象とした。カプランマイヤーモデルとCox比例ハザードモデルを用いて、PAHを併存するSSc患者とILDに伴ったPHを併存するSSc患者の生存率の比較を行い、生存率の予測因子の特定を行った。
結果
59例(PAH併存例39例、ILDに伴ったPHの併存例20例)を特定した。その大半(ILDに伴ったPHの併存例20例中15例およびPAH併存例39例中27例)が初回治療としてエンドセリン受容体拮抗薬の投与を受けていた。追跡調査期間中央値は4.4年(範囲2.7〜7.4年)であった。生存率は、ILDに伴ったPHを併存するSSc患者の方がPAHを併存するSSc患者よりも有意に低かった(1年生存率、2年生存率、3年生存率はそれぞれ82%、46%、39%対87%、79%、64%、ログランク検定によるP<0.01)。多変量解析では、ILDに伴ったPHの場合の死亡リスクはPAHの場合の5倍となった。また、肺血管抵抗係数もコホート全体における死亡率の独立予測因子となり(ハザード比1.05、P<0.01)、かつ個々の群における有意な単変量危険因子であることがわかった。PAHに対する初回治療の種類、およびワルファリン使用の有無は生存率に関連していなかった。
結論
現在利用可能な治療選択肢にもかかわらず、PHを合併したSSc患者の生存率は依然として低くなっている。PAHの場合には治療によって生存率が既存対照よりも向上する可能性があるものの、ILDに伴ったPHの併存例の予後は特に不良である。血行力学的因子の悪化は生存率低下と関連していたことから、早期の診断と治療により転帰が改善する可能性がある。
コメント
強皮症における肺高血圧症には、間質性肺炎を合併して生じる場合と、単独で生じる場合があり、その予後については不明であった。本研究により、間質性肺炎を合併している場合の方が予後不良であることが統計学的に認められた。このことから、間質性肺炎に対する治療を積極的に行うことで予後を多少でも改善できることが明らかとなり、患者治療に有益な情報が得られた。
監訳・コメント:大阪大学 先端科学イノベーションセンター 吉崎 和幸先生
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