眼部帯状疱疹と脳卒中リスク:集団ベースの追跡研究
Herpes zoster ophthalmicus and the risk of stroke: A population-based follow-up study
Lin HC, Chien CW, Ho JD.
Department of Ophthalmology, Taipei Medical University Hospital, 252 Wu-Hsing Street, Taipei 110, Taiwan
Neurology. 2010 Mar 9;74(10):792-7. Epub 2010 Mar 3.
目的
眼部帯状疱疹(HZO)診断後の脳卒中発症リスクを調査すること。
方法
データは、Taiwan National Health Insurance Research Databaseからレトロスペクティブに収集した。研究コホートは、2003年と2004年にHZO(ICD-9-CMコード053.2)の診断を受けたすべての患者で構成した(n=658)。比較コホートは、年齢および性別を研究コホートに対応させて無作為に選出した患者(各HZO患者に対して3名、n=1,974)で構成した。各患者を、指標となる来院日から1年間追跡した。Kaplan-Meier法を用いて、1年間の脳卒中無病生存率を算出した。Cox比例ハザード回帰分析を行って、可能性のある交絡因子で補正後の1年間の脳卒中無病生存率を算出した。
結果
1年間の追跡期間中、HZO患者の8.1%および比較コホートの患者の1.7%が脳卒中を発症した。比較コホートの患者に比べ、HZO患者は1年間の脳卒中無病生存率が有意に低かった。患者の人口統計学的特性、選択した併存疾患および投薬歴で補正を行ったところ、HZO患者は、対応する比較コホートの患者に比べて、脳卒中発症リスクが4.52倍高いことが明らかになった(95%信頼区間2.45〜8.33)。全身抗ウイルス治療を受けた患者と受けなかった患者の間で」脳卒中発症率に有意差は認められなかった。
結論
眼部帯状疱疹は、1年間の追跡期間中の脳卒中発症リスク増加の指標となりえる。
コメント
脳血管障害は、介護を要する患者の約30%を占め、今後の高齢社会における重要課題は、超急性期治療の確立による症状改善と、危険因子のコントロールによる発症予防の2点である。本論文は、高齢者の眼部帯状疱疹罹患が脳血管障害の危険因子であるとの報告であり、高齢社会における重要な指摘と考えられる。他の危険因子、脳内血管の評価、発現機序など今後検討すべき問題点は残されているが、脳梗塞と炎症との関連を考える上においても興味ある報告である。
監訳・コメント:大阪府立急性期・総合医療センター 神経内科 狭間 敬憲先生
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