乾癬に対する在宅における中波長紫外線治療の費用効果:無作為化対照試験(PLUTO試験)の経済的評価
Cost effectiveness of home ultraviolet B phototherapy for psoriasis: economic evaluation of a randomised controlled trial (PLUTO study)
Koek MB, Sigurdsson V, van Weelden H, Steegmans PH, Bruijnzeel-Koomen CA, Buskens E.
Department of Dermatology/Allergology (G02.124), University Medical Center Utrecht, Heidelberglaan 100, 3584 CX Utrecht, Netherlands.
BMJ. 2010 Apr 20;340:c1490. doi: 10.1136/bmj.c1490.
目的
乾癬に対する在宅における中波長紫外線療法のコストおよび費用効果について、外来通院の場合と比較し経済的評価を行うこと。
デザイン
実地医療の場において、乾癬患者を在宅と通院治療に無作為に割り付けて臨床試験(PLUTO試験)を行う。評価は、光線療法終了時点(平均17.6週後)および終了1年後(平均68.4週後)の費用効用、費用効果で、費用最小化分析を行い評価する。
施設
皮膚科医のいる二次医療を担う施設(オランダ)を対象とした。
対象
皮膚科を有する14カ所の医療施設において、皮膚科受診者の中から、ナロウバンド(TL-01)の中波長紫外線療法の臨床適応となる成人乾癬患者196例を対象とし、中波長紫外線療法を行って終了まで追跡した。光線療法終了後については、任意の連続した105例について1年間追跡して評価を行った。
治療法
中波長紫外線療法を行った患者について、在宅(介入群)および外来通院(対照群)に分けてオランダの通常の実地医療を反映した方法で費用評価を行った。どちらの治療にもナロウバンドの中波長紫外線ランプ(TL-01)を使用した。
主要エンドポイント
社会的にかかった総費用、EQ-5D質問票で評価した効用に基づいて算出した質調整生存年(QALY)、および治療効果で判定した。治療効果は、患者自身の評価による乾癬の面積・重症度指数[SAPASI]を用い、ベースラインから50%以上改善した日数で判定した。
結果
在宅光線療法の有効性と安全性は外来通院と同等であり、費用最小化分析(コストの単純な比較)が可能であった。光線療法終了まで必要であった総費用は、在宅治療で平均800ユーロ、外来通院での治療で平均752ユーロであり、在宅治療では患者あたり48ユーロ(95%CI −77〜174ユーロ)費用がかかっていた。光線療法終了から1年後までの総費用は、それぞれ平均1,272ユーロ、1,148ユーロであった(差124ユーロ、95%CI −155〜403ユーロ)。費用効用分析からは、健康上の利益については両群で同等であることが示された。すなわち家庭および外来でのQALYの改善は、光線療法終了までで0.296と0.291(差0.0052、95%CI −0.0244〜0.0348)、光線療法終了から1年後までで1.153と1.126(差0.0267、95%CI −0.024〜0.078)であった。QALYあたりの増分費用はそれぞれ9,276ユーロと4,646ユーロで、いずれも通常許容される標準的なコストであるQALYあたり20,000ユーロよりも少なかった。費用効果分析では、治療効果が認められた日数の平均は、光線療法終了までの期間では在宅治療者42.4日、外来通院者55.3日(差−12.9日、95%CI −23.4〜−2.4日)、光線療法終了から1年後までの期間では216.5日と210.4日(差6.1日、95%CI −41.1〜53.2日)であった。治療効果が認められた1日あたりの増分費用は20ユーロであった。
結論
乾癬に対する在宅中波長紫外線療法は、外来通院での光線療法に比べて特別にコストがかかる状況にはなく、費用効果が高いことが明らかになった。在宅、通院による治療有効性についても同等であった。患者は在宅治療を求めていることから、中波長紫外線療法の適応となる患者に対しては、在宅光線療法を第一選択療法にすべきである。
コメント
乾癬は、発症のメカニズムがよく分かってない。T細胞が真皮まで来てサイトカイン(生理活性物質の一種)を出すことで表皮細胞の増殖が早まることが原因と考えられている。特定の波長の紫外線(UV)を照射することで尋常性乾癬に効果があることが明らかとされ、わが国でも広がってきている。新しい紫外線は「ナロウバンド(狭い領域の)UVB」、略して「NB-UVB」と呼ばれる。波長311から313ナノメートルの紫外線を使う。これまで皮膚科で使われた紫外線療法は「PUVA(プーバ)療法」であり、光感受性を増す薬を内服または外用塗布した後に、紫外線Aを照射する治療法である。NB-UVBでは薬は使わずに紫外線だけで治療する。オクソラレンの前処置の必要がなく、治療時間も短く有用性が高い。さらに、通院しなくとも在宅で治療することが可能であれば利点が大きい。本論文は、在宅治療と通院治療の費用対効果を検討したものである。
監訳・コメント:関西大学 社会安全学研究科 公衆衛生学 高鳥毛 敏雄先生
PudMed: