TIA患者のトリアージ時のABCD2スコアに関する多施設共同外部検証研究
Multicenter external validation of the ABCD2 score in triaging TIA patients
Tsivgoulis G, Stamboulis E, Sharma VK, Heliopoulos I, Voumvourakis K, Teoh HL, Patousi A, Andrikopoulou A, Lim EL, Stilou L, Sim TB, Chan BP, Stefanis L, Vadikolias K, Piperidou C.
Department of Neurology, Democritus University of Thrace, School of Medicine, Alexandroupolis, Greece. tsivgoulisgiorg@yahoo.gr
Neurology. 2010 Apr 27;74(17):1351-7.
目的
早期脳卒中発症のリスクが高い一過性脳虚血発作(TIA)患者をトリアージするため、簡便な臨床スコア(ABCD2スコア)が導入されている。これまでの外部検証研究では、ABCD2スコアの予測能に関する結果は一貫していなかった。このスコアをプロスペクティブに検証することを目的として、多施設共同症例集積研究を実施した。
方法
3カ所の三次救急病院の神経内科病棟に入院した2人種(白人とアジア人)にわたるTIAの連続患者を対象に、ABCD2スコア(年齢[60歳以上:1点]、血圧[収縮期140mmHg超または拡張期90mmHg超:1点]、臨床的徴候[片側性の筋力低下:2点、筋力低下を伴わない発話障害:1点、その他の症状:0点]、症状の持続時間[10分未満:0点、10〜59分:1点、60分以上:2点]、糖尿病[あり:1点])をプロスペクティブに算出した。
結果
今回検討した症例集積(n=148)では、7日間の脳卒中発症リスクは8%(95%CI 4%〜12%)、90日間の脳卒中発症リスクは16%(95%CI 10%〜22%)であった。ABCD2スコアにより、7日間のリスクが高いTIA患者(c統計量0.72、95%CI 0.57〜0.88)と90日間のリスクが高いTIA患者(c統計量0.75、95%CI 0.65〜0.86)が正確に分類され、c統計量により本スコアの有用性が示された。ABCD2スコアが3点を超える患者(28%、95%CI 18%〜38%)では、ABCD2スコアが3点以下(4%、95%CI 0%〜9%)の患者と比べて90日間の脳卒中発症リスクが7倍高かった。脳卒中のリスクファクター、人種、TIAの既往歴、初回TIA以前の治療薬および二次予防治療について補正したところ、2を超えるABCD2スコアは90日間の脳卒中リスクの5倍近い上昇と関連していた(ハザード比4.65、95%CI 1.04〜20.84、p=0.045)。
結論
今回の結果により、多人種の入院患者集団を対象に、早期脳卒中発症リスクが高いTIA患者をトリアージする際のABCD2スコアの有用性を外部検証がなされた。今回得られたデータから、ABCD2スコアが2を超える患者の即時入院を推奨する現行のガイドラインが支持される。
コメント
今月も脳血管障害の論文です。最近TIAが再考され、緊急対応すべきとの考え方が趨勢のようです。診断の重要性は言うまでもありませんが、脳梗塞への易移行例をいかに早期に判定し、対応するかがより問題となります。以前よりTIA患者が脳梗塞へ移行する危険因子を数値化したABCD2簡易スケールがありました。これに対する外部評価は一定していませんが、今回、多民族評価さらに外部評価において有用性がプロスペクティブに実証されました。診断や他の危険因子に対する評価は今後の問題でしょうが、高スケール例の緊急入院対応を推進する上で臨床家にとり有意義な論文と考えられます。
監訳・コメント:大阪府立急性期・総合医療センター 神経内科 狭間 敬憲先生
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