関節リウマチの寛解:医師のとらえ方と患者のとらえ方
Remission in rheumatoid arthritis: physician and patient perspectives
Wolfe F, Boers M, Felson D, Michaud K, Wells GA.
National Data Bank for Rheumatic Diseases and University of Kansas School of Medicine, Wichita, Kansas 67214, USA.
The Journal of Rheumatology. 2009 May;36(5):930-3. Epub 2009 Mar 30.
目的
医師と患者がそれぞれ別々に行った判断に基づいた関節リウマチ(RA)の寛解率(prevalence of remission)について調べること、ならびに両方法間での一致の程度、寛解に関する予測変数の推定、および寛解期間について調べること。
方法
800例のRA患者がリウマチ専門医への受診日に寛解に関する質問票に記入し、同日にその担当医らがこれとは別の質問票への記入を行った。質問は、「RAの疾患活動性に関するあなたのすべての経験を踏まえると、現在あなた[あなたの患者さん]は寛解していますか?」とした。また、患者はRAの活動性、疼痛および機能の制限に関する0〜10の視覚アナログ尺度にも記入した。
結果
寛解例の割合は、医師の評価に基づいた場合と患者の評価に基づいた場合でそれぞれ34.8%(95%信頼区間(CI)31.4〜38.2)および30.9%(95%CI 27.7〜34.20)であった。両者が一致(完全に一致)すると分類された患者の割合は78.6%であり、そのκ統計量は0.54(95%CI 0.45〜0.58)であった。寛解期間中央値は2.0年であった。RAの活動性、疼痛および機能に関するスコアの中央値は、患者が寛解と判断した場合にはそれぞれ1.0、1.5および1.25であり、医師が寛解と判断した場合にはそれぞれ1.5、1.5および1.5であった。
結論
RAの寛解に関する医師による推定値と患者による推定値は近く(34.8%対30.9%)、一致は78.6%認められた(κ=0.53)。これまでのデータと今回観察された疾患活動性に基づくと、今回の寛解の定義は真の寛解ではなく、疾患活動性がわずかであることの指標となっているように思われる。寛解率に関する問題は、研究と診療の現場において意義を持つコンセンサス定義が考案されるまでは解決しないであろう。
コメント
寛解についての定義は、いまだ定まっていない。関節リウマチの原因治療がない現在、生物学的製剤もあくまで対症療法である。投薬のまったくない状態の持続および関節破壊の進行がない状態を完全寛解とすると、現時点での完全寛解は困難である。しかし一般に、生物製剤のみ、あるいは従来薬により炎症のない状態の持続を寛解という場合がある。症状のない寛解、関節破壊のない寛解、HAC(QOL)の寛解など、それぞれの寛解で評価していかなければならない。従って医師のとらえ方、患者のとらえ方でのコンセンサスが得られるまでは、今後も議論を重ねなければならない。
監訳・コメント:大阪大学 先端科学イノベーションセンター 吉崎 和幸先生
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