重症パーキンソン病に対する脳深部刺激療法と最適薬物療法の併用と最適薬物療法単独の比較(PD SURG試験):無作為化非盲検試験
Deep brain stimulation plus best medical therapy versus best medical therapy alone for advanced Parkinson’s disease (PD SURG trial): a randomised, open-label trial
Williams A, Gill S, Varma T, Jenkinson C, Quinn N, Mitchell R, Scott R, Ives N, Rick C, Daniels J, Patel S, Wheatley K; PD SURG Collaborative Group.
Queen Elizabeth Hospital, Birmingham, Birmingham, UK.
Lancet Neurol. 2010 Jun;9(6):581-91.
背景
重症パーキンソン病に対する外科的介入は、薬物療法では症状を十分に管理できない場合の選択肢となっている。
目的
重症パーキンソン病を有する患者を対象として、手術と最適薬物療法の併用によって、患者の自己報告によるQOLが最適薬物療法単独の場合と比べて改善がみられるかどうかを評価することを目的とした。
方法
PD SURG試験は、無作為化非盲検法で行った。2000年11月から2006年12月の間に、英国の13カ所の脳神経外科センターにおいて、薬物療法では十分に管理できないパーキンソン病を有する患者を、コンピュータによる最小化法を用いて、手術(病変破壊または脳深部刺激のいずれか)と最適薬物療法の併用群と最適薬物療法単独群の2群に無作為に割り付けた。患者は、割り付けられた治療を受けたかどうかにかかわらず無作為化された治療群の患者として解析された。主要評価項目は、39項目のパーキンソン病質問票(PDQ-39)に基づく患者の自己報告によるQOLとした。ベースラインと1年後の間の変化は、t検定を用いて評価した。本研究は、Current Controlled TrialsのISRCTN34111222として登録されている。
結果
366人の患者を、手術と最適薬物療法を併用して受ける群(183人)と最適薬物療法のみを受ける群(183人)に無作為に割り付けた。手術を受けたすべての患者は、脳深部刺激を施行された。1年後の時点では、ベースラインと比較したPDQ-39の主要尺度スコアの平均改善率は、手術群で5.0ポイント、薬物療法群で0.3ポイントであった(差−4.7、95%CI−7.6〜−1.8、p=0.001)。手術群と最適薬物療法群の間のPDQ-39の可動性サブスケールにおける平均変化の差は−8.9(95%CI−13.8〜−4.0、p=0.0004)、日常生活活動サブスケールにおける差は−12.4(−17.3〜−7.5、p<0.0001)、身体の不調サブスケールにおける差は−7.5(−12.6〜−2.4、p=0.004)であった。PDQ-39の他のすべてのサブスケールにおける群間差は有意ではなかった。36人(19%)の患者が、重篤な手術関連有害事象を発現した。自殺は発生しなかったが、手技に関連した死亡が1件発生した。手術群の20人と最適薬物療法群の13人が、パーキンソン病と薬物療法に関連した有害事象を発現した。
考察
1年後の時点では、手術と最適薬物療法の併用によって、重症パーキンソン病患者の自己報告によるQOLは薬物療法単独群よりも改善していた。これらの差は臨床的に重要であるが、手術にはリスクが伴うものであることから、最も利益があると考えられる患者に限って行うべきである。
コメント
重症のパーキンソン病患者には、通常の内科的な治療だけでは症状が緩和されない者も多い。そのため外科的な治療も行われている。近年画像技術の進歩により病巣を正確に定めた脳外科手術が可能となっている。本研究は、外科的治療の併用が、重症のパーキンソン病患者の症状緩和に有効であるのかどうかを検証しようとしたものである。今後数年フォローアップを行い最終評価が実施される予定となっている。1年後では、患者の主観的な評価では手術併用群の方で症状が改善している状況にあったが、手術は当然のことながらリスクや後遺症を伴うことがあり、現時点では適切な対象者を定めて行うことが必要であるとのことであった。
監訳・コメント:関西大学 社会安全学研究科 公衆衛生学 高鳥毛 敏雄先生
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