変動するギラン−バレー症候群と急性発症CIDPの鑑別:プロスペクティブ研究
Distinguishing acute-onset CIDP from fluctuating Guillain-Barré syndrome: A prospective study
Ruts L, Drenthen J, Jacobs BC, van Doorn PA; Dutch GBS Study Group.
Erasmus MC, University Medical Center, Department of Neurology, CA Rotterdam, The Netherlands.
Neurology. 2010 May 25;74(21): 1680-6.
目的
本研究の目的は、治療開始直後の症状の変動を伴うギラン−バレー症候群(GBS-TRF)と急性発症を呈する慢性炎症性脱髄性多発ニューロパシー(A-CIDP)を疾患の早期に鑑別するための基準を提示することである。
背景
GBS-TRFとA-CIDPの鑑別は困難であるが、予後および治療戦略が大きく異なるため重要である。
方法
GBSを有する患者(n=170)をプロスペクティブな縦断的研究に組み入れた。GBS-TRFを有する患者(n=16)とA-CIDPを有する患者(n=8)を対象に解析および比較を行った。1年間のフォローアップ中に、臨床データ、生物学的試料および電気生理学的データを追加収集した。
結果
GBS-TRF群における最初のTRFは、筋力低下の発症から8週間以内に常に生じた(中央値18日、範囲10〜54日)。GBS-TRF群では、5名(31%)の患者で2回目のTRFが生じたが、それより多くTRFが生じた患者はいなかった。すべての時点において、A-CIDP群の患者は、GBS-TRF群の患者に比べて重大な障害を受けることが少なく、人工呼吸を必要とせず、脳神経障害をきたすことはまれであり、CIDP様の電気生理学的異常を示す傾向があった。変動のないGBS群の患者と比較した場合、GBS-TRF群では重大な障害を受けた患者が多く、また感覚障害をきたす患者が多かった。
結論
ギラン−バレー症候群と考えられている患者が発症から8週間後に再度悪化をきたした場合や、3回以上の悪化をきたした場合は、CIDPの診断を考慮するべきである。特に、患者が一人で歩くことができ、脳神経障害がなく、CIDPと一致するような電気生理学的特徴を示す場合は、CIDPに対する維持療法を検討すべきである。
コメント
一旦治療にて改善したようにみえたGBSが症状の変動を呈した場合、急性発症したCIDPとの鑑別診断には苦慮することが多いが、治療法の選択や予後を考える上で、さらに昨年からCIDPが厚生労働省の特定疾患に加わり神経難病として公認されたこともあり、発症早期よりの両疾患の鑑別診断は重要である。本報告は臨床観察による前向き研究であるが、多くの臨床家が持っている問題意識について、理解しやすい指標による鑑別を試みた点が意義ある報告と考えられ、ここに取り上げた。CIDPは比較的軽症であり、再燃までの期間が遅く、再燃の回数が多いことなど臨床徴候により鑑別可能なようであるが、GBS-TRF例の治療法の効果判定における病態や作用機序に基づく客観的指標の開発も望まれる。
監訳・コメント:大阪府立急性期・総合医療センター 神経内科 狭間 敬憲先生
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