関節リウマチにおける腫瘍壊死因子阻害薬間の薬剤治療継続率および投与中止原因についての比較
Comparison of Drug Retention Rates and Causes of Drug Discontinuation Between Anti–Tumor Necrosis Factor Agents in Rheumatoid Arthritis
Du Pan SM, Dehler S, Ciurea A, Ziswiler HR, Gabay C, Finckh A; Swiss Clinical Quality Management Physicians.
Geneva University Hospital, Geneva, Switzerland. sophie.martin-du-pan@hcuge.ch
Arthritis Rheum. 2009 May 15;61(5):560-8.
目的
腫瘍壊死因子(TNF)阻害薬は、重度の関節リウマチ(RA)の治療に革命をもたらたが、投与中止が多くみられる。本研究の目的は、地域住民に基づいたRAコホートにおける治療継続率およびTNF阻害薬中止の特異的原因を比較することである。
方法
1997〜2006年の間に、Swiss Clinical Quality ManagementのRAコホート内で、エタネルセプト、インフリキシマブまたはアダリムマブの投与を受けたすべての患者を研究に組み入れた。治療中止の原因は、有害事象(AE)または実薬毒性以外の原因に大別し、さらに特異的なカテゴリーに分類した。治療中止の特異的原因は、Cox比例ハザードモデルを用いて解析し、可能性のある交絡因子について補正した。
結果
合計2,364件のTNF阻害薬による治療はすべて組み入れ基準を満たしていた。治療中止は803回報告され、内訳は、エタネルセプト309回、インフリキシマブ249回、アダリムマブ245回であった。単一の治療中止原因として最も多かったものは、不十分な薬剤効果であった(症例の55.8%)。TNF阻害薬治療を受けた時間の中央値は37カ月であったが、中止率は3種のTNF阻害薬の間で異なっており(P<0.001)、インフリキシマブの治療継続率が他よりも短かった(ハザード比[HR]1.24、99%信頼区間[CI]1.01〜1.51)。治療中止の特異的原因を解析した結果、インフリキシマブでAEのリスクが上昇することが明らかになり(HR 1.4、99%CI 1.003〜1.96)、そのほとんどは、注入時反応またはアレルギー反応に関するリスクの上昇によるものであった(HR 2.11、99%CI 1.23〜3.62)。他の中止原因は、TNF阻害薬間で均等に分布していた。
結論
この集団において、インフリキシマブは、エタネルセプトとアダリムマブに比べて全体的に高い中止率と関連したが、これは主として、注入時反応またはアレルギー反応のリスクが上昇するためである。
コメント
TNF-αの阻害薬はRA治療に有効であることは明らかであるが、長期投与の可能性は今後の課題である。本論文はその課題に対する解答の一部を示している。すなわち、治療継続率は、患者さんにおいて有効性と安全性の総合評価の結果を示すもので、継続率の高い薬剤ほど有効性が高く安全である証拠となる。本結果から、同じTNF-α阻害薬であってもインフリキシマブは治療継続率が低く、満足度が得られていないこととなる。今後多くの新薬が登場してくるが、一時的有効性のみならず、継続率は薬剤評価の重要因子である。
監訳・コメント:大阪大学 先端科学イノベーションセンター 吉崎 和幸先生
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