特発性パーキンソン病におけるL-ドパ、メチルマロン酸およびニューロパシー
Levodopa, Methylmalonic Acid, and Neuropathy in Idiopathic Parkinson Disease
Toth C, Breithaupt K, Ge S, Duan Y, Terris JM, Thiessen A, Wiebe S, Zochodne DW, Suchowersky O.
Department of Clinical Neurosciences, Hotchkiss Brain Institute, University of Calgary, 3330 Hospital Drive NW, Calgary, Alberta, Canada. corytoth@shaw.ca
Ann Neurol. 2010 Jul;68(1):28-36.
目的
特発性パーキンソン病(IPD)患者においては、末梢性ニューロパシー(PN)の合併は偶発と考えられている。IPD患者集団におけるPNの有病率、ならびにL-ドパ(レボドパ)の使用および空腹時のメチルマロン酸(MMA)値との関連の可能性を検討することを目的として研究を行った。
方法
プロスペクティブなコホート研究において、包括的なデータベースからランダムに選択したIPD患者を、臨床的および電気生理学的指標を用いて、PNの有無および重症度について対照群と比較した。IPDの重症度は、統一パーキンソン病評価尺度(Unified Parkinson’s Disease Rating Scale:UPDRS)を用いて判定した。L-ドパの使用と、コバラミン、MMAおよびホモシステイン(Hcy)の血清濃度との関連を検討した。また、PNの有無および重症度と、年齢、IPDの罹病期間、L-ドパの累積用量、コバラミン値、MMA値およびHcy値との関連を検討した。
結果
ランダムに選択した58人のIPD患者を、年齢および性別をマッチさせた58人の対照群と比較した。IPD患者の55%および対照群の9%がPNを有していた。IPD患者は、対照群に比べて、PNの有病率および空腹時のMMA/Hcy値が高かった。PNを合併したIPD患者は、より高齢で、UPDRSスコア、空腹時のMMA/Hcy値およびL-ドパへの累積曝露でより高い値を示した。IPD患者におけるPNの重症度は、L-ドパへの曝露およびMMA値と正相関していた。
結論
IPD患者は、対照群に比べてPNの有病率が高かった。因果関係は示されていないが、L-ドパへの曝露は、IPD患者におけるMMA値の上昇および感覚運動性ニューロパシーと関連していた。IPD患者におけるPNの発症を予防するため、L-ドパ療法と併用してのコバラミン補充を考慮するべきである。
コメント
パーキンソン病の主な治療法であるL-ドパ療法において、起こりうる併発症として以前より、機序としてはMMA値とHcy値の増加を関してのものが想定されているが、脳梗塞、心筋梗塞、認知症などがある。一方従来からコバラミンの低下によるMMA値とHcy値の増加も指摘されていることとの関連で、本論文はパーキンソン病のL-ドパ療法中の患者は末梢神経障害合併患者が多いであろうとの仮説を立て証明し、さらに、予防的なコバラミンの補充療法の必要性を指摘したものである。パーキンソン病には末梢神経障害の併発はまれとの考えが一般的であるが、L-ドパ療法中には起こり得ることを示したものであり、患者の注意深い観察を喚起するものである。
監訳・コメント:大阪府立急性期・総合医療センター 神経内科 狭間 敬憲先生
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