脳磁気共鳴画像における白質高信号病変の臨床的重要性:系統的レビューとメタ解析
The clinical importance of white matter hyperintensities on brain magnetic resonance imaging: systematic review and meta-analysis
Debette S, Markus HS.
Clinical Neuroscience, St George's University of London, London.
BMJ. 2010 Jul 26;341:c3666. doi: 10.1136/bmj.c3666.
目的
脳核磁気共鳴画像の白質高信号病変と、脳卒中、認知機能低下、認知症、および死亡のリスクとの関連について、これまでの論文を収集し解析し評価すること。
デザイン
系統的レビューおよびメタ解析。
データソース
1966年から2009年11月23日までのPubMed収載文献。
研究の選択
脳卒中、認知機能低下、認知症、および死亡のリスクに対し、脳磁気共鳴画像の白質高信号病変との関係について評価している前向き縦断研究の論文のみを収集した。メタ解析では、カテゴリー尺度による白質高信号病変の有無別に、脳卒中、認知症、および死亡リスクに対する同領域の影響を評価している研究論文を解析対象とした。
データの抽出
研究対象集団、追跡期間、白質高信号病変の測定方法、転帰の定義、および白質高信号病変と転帰との関連の評価尺度とした。
データの合成
46の縦断研究論文を対象として分析した。脳卒中(12研究)、認知機能低下(19研究)、認知症(17研究)、および死亡(10研究)のリスクと白質高信号病変との関連を評価していた。そのうち22研究論文をメタ解析の対象とした。脳卒中(9研究)、認知症(9研究)、死亡(8研究)である。白質高信号病変がある場合には、脳卒中(ハザード比3.3、95%信頼区間2.6〜4.4)、認知症(1.9、1.3〜2.8)、および死亡(2.0、1.6〜2.7)のリスクが高かった。また白質高信号病変がある場合には、全認知機能、実行機能、および処理速度の低下が速いことが示唆された。
結論
白質高信号病変があると、脳卒中、認知症、および死亡のリスクが高いことが予測できた。今回の結果は、診断検査で白質高信号病変がみつかった場合には脳血管イベントリスクが高いということを示すものであり、また研究対象の設定時には白質高信号病変を中間マーカーとして利用できることが示唆された。白質高信号病変がみつかった場合には、脳卒中と認知症の危険因子を詳細にスクリーニングすべきと考えられた。
コメント
脳磁気共鳴画像検査により大脳白質病変を容易に検査できるようになっている。画像上の強調像と病気との関係を知ることができると、疾病の早期発見や診断に大きな利点がある。本論文では白質高信号病変と脳卒中や認知症、さらに死亡との間に有意な関係があることが示された。画像診断は長足の進歩を遂げてきており、今後さらに健診や臨床における活用が進んでいくものと思われる。大脳白質の高信号病変は虚血変化と関係があると考えられるが、まだ高価な検査であり、その臨床的意義についてはさらなる検討が必要と思われる。
監訳・コメント:関西大学 社会安全学研究科 公衆衛生学 高鳥毛 敏雄先生
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