股関節または膝の変形性関節症患者に対するグルコサミン、コンドロイチン、またはプラセボの治療効果の評価:ネットワークメタ解析
Effects of glucosamine, chondroitin, or placebo in patients with osteoarthritis of hip or knee: network meta-analysis
Wandel S, Jüni P, Tendal B, Nüesch E, Villiger PM, Welton NJ, Reichenbach S, Trelle S.
Institute of Social and Preventive Medicine, University of Bern, Switzerland.
BMJ. 2010 Sep 16;341:c4675. doi: 10.1136/bmj.c4675.
目的
股関節または膝の変形性関節症患者を対象に、関節痛およびX線所見による病気進行に対するグルコサミン、コンドロイチン、またはそれらの併用による効果を評価すること。
デザイン
ネットワークメタ解析による、異なる時点の異なる評価されたデータを、ベイズモデルを用いて、各臨床試験内での研究成績を他の臨床試験のエビデンスと統合した。
主要エンドポイント
主要エンドポイントは疼痛の強度とし、サプリメント(グルコサミン、コンドロイチン)とプラセボの間の臨床的に重要な差の最小値を、10cmのビジュアルアナログスケールで−0.9cmと事前に定めた。副次的エンドポイントは最小関節裂隙幅の変化とした。
データソース
論文の電子データベースおよび学会抄録を、データベースの創設あるいは抄録の初号から2009年6月まで検索した。また専門家と連絡を取り、関連のあるウェブサイトの調査も行った。
試験選択時の組み入れ基準
膝または股関節の変形性関節症患者の症例200例以上を対象とした臨床研究で、グルコサミン、コンドロイチン、またはそれらの併用をプラセボと比較している、あるいはサプリメント同士を比較している、大規模な無作為化対照試験であることとした。
結果
合計3,803例を対象とする10試験を解析の対象とした。疼痛の強度を10cmのビジュアルアナログスケールで比較した場合、プラセボとの総合的な差はグルコサミンで−0.4cm(95%信頼区間−0.7〜−0.1cm)、コンドロイチンで−0.3cm(−0.7〜0.0cm)、両者併用の場合には−0.5cm(−0.9〜0.0cm)であった。いずれの推定値に関しても、95%信頼区間が臨床的に重要な差の最小値を超えることはなかった。企業が資金供与している臨床試験に比べ、企業から資金提供を受けていない臨床試験での効果は小さかった(P=0.02)。最小関節裂隙幅の変化の差はいずれのサプリメントでもわずかであり、95%信頼区間はゼロをまたいでおり有意差は認められなかった。
結論
グルコサミン、コンドロイチン、およびそれらの併用は、プラセボとの比較で関節痛を軽減せず、関節裂隙の狭小化に対しても効果を示さなかった。保健行政当局および保険会社はこうしたサプリメントの費用を負担すべきでなく、他の治療をまだ受けていない患者へのこれらのサプリメントの新規処方は控えるべきである。
コメント
近年、慢性疾患の増加や、社会の高齢化による健康に対する関心の高まりから様々なサプリメントが登場し、過剰な広告のもとで販売されている。そのこと自体は、健康被害をもたらすものでなければ個人の選択と嗜好のレベルであり問題はない。しかし、医薬品として扱うとなると、薬物として治療効果があるのか、臨床の場で用いるべきものなのかについての検討が必要である。本論文では、骨関節疾患において臨床症状、関節病変の変化に対する効果は認められないので、医薬品としての使用や費用負担は控えるべきであるとしている。
監訳・コメント:関西大学 社会安全学研究科 公衆衛生学 高鳥毛 敏雄先生
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