インターロイキン-6はX線上の変形性膝関節症所見変化の有意な予測因子である:Chingford study
Interleukin-6 is a significant predictor of radiographic knee osteoarthritis: The Chingford Study
Livshits G, Zhai G, Hart DJ, Kato BS, Wang H, Williams FM, Spector TD.
King's College London, London, UK.
Arthritis Rheum. 2009 Jul;60(7):2037-45
目的
早期変形性関節症(OA)の予測能を改善できるバイオマーカーの開発が強く求められている。本研究の目的は、インターロイキン-6(IL-6)、腫瘍壊死因子α(TNFα)およびC反応性蛋白(CRP)の血中濃度が健常人集団におけるX線検査で評価した変形性膝関節症所見変化(RKOA)に対する有用なマーカーとなるかどうかについて検討することであった。
方法
英国の健康な中年女性を対象とした前向き集団ベース研究であるChingford studyのコホートからRKOAに関するデータを得た。ベースライン時(908例)と10年後および15年後に撮影したX線写真に基づいて求めたKellgren/Lawrence(K/L)グレードを用いて、RKOAの罹患状態の評価を行った。感度の高い市販のアッセイ系を用いて、5年後、8年後および15年後におけるCRP、IL-6およびTNFαの血清中濃度を分析した。どちらかの膝のK/Lグレードが2以上であることを、転帰項目として用いた。統計解析には、反復測定分散分析とロジスティック回帰モデル、ならびに2つの値による応答に基づく経時モデルを含めた。
結果
15年間の追跡調査期間中に、RKOA(K/Lグレード≧2)の有病率は14.7%から48.7%に上昇した(ベースラインとの比較においてP<0.00001)。体格指数(BMI)とCRPおよびIL-6の血中濃度は、RKOAと診断された被験者の方が一貫してかつ有意に高かった。データに対して多重ロジスティック回帰を行うと、高年齢(P=3.93×10-5)、ベースラインのBMIの高値(P=0.0003)、5年後のIL-6濃度の高値(P=0.0129)という変数が、10年後におけるRKOAに対する独立予測因子となることが判明した。この結果は、3回の来院で得られたデータについての反復測定値に基づく経時モデルを用いて、十分に確認された。濃度を昇順とした場合にIL-6濃度上昇の第4四分位群におけるRKOAの(第1四分位群に対する)オッズ比は、2.74(95%信頼区間1.94〜3.87)であった。
結論
今回の追跡調査研究から、BMIが高値である場合およびIL-6の血中濃度が高値である場合にはRKOAと診断される可能性が高いことが示された。この結果から、治療の標的候補としてのIL-6に関するさらなる研究が促されるはずである。
コメント
変化性関節症(OA)は関節軟骨の減少による関節炎で、老化現象の1つと考えられ徐々に進行する。関節リウマチと異なり、強度の炎症をともなわないため、発症・進行の予測マーカーを特定しがたい。今回OA変化のマーカーとして、関節炎に関与するサイトカインのIL-6とTNFα、そしてそれらサイトカインによって誘導される炎症マーカーのCRP値を検討したところ、IL-6が予測マーカーになり得そうであることを見出した。OAは高齢者に多く発症するため、患者のQOLの低下と共に、社会的にも経済的にも問題となる。これを予測し得ることができ、予防することができれば、多大な貢献となる。
監訳・コメント:大阪大学 先端科学イノベーションセンター 吉崎 和幸先生
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