TMEM106B遺伝子はプログラニュリン量ならびにプログラニュリン変異遺伝子キャリアの前頭側頭葉変性症の浸透率を調節する
TMEM106B regulates progranulin levels and the penetrance of FTLD in GRN mutation carriers
Finch N, Carrasquillo MM, Baker M, Rutherford NJ, Coppola G, Dejesus-Hernandez M, Crook R, Hunter T, Ghidoni R, Benussi L, Crook J, Finger E, Hantanpaa KJ, Karydas AM, Sengdy P, Gonzalez J, Seeley WW, Johnson N, Beach TG, Mesulam M, Forloni G, Kertesz A, Knopman DS, Uitti R, White CL 3rd, Caselli R, Lippa C, Bigio EH, Wszolek ZK, Binetti G, Mackenzie IR, Miller BL, Boeve BF, Younkin SG, Dickson DW, Petersen RC, Graff-Radford NR, Geschwind DH, Rademakers R.
Departments of Neuroscience (N.F., M.M.C., M.B., N.J.R., M.D.-H., R.C., T.H., J.C., J.G., S.G.Y., D.W.D., R.R.) and Neurology (R.U., Z.K.W., N.R.G.-R.), Mayo Clinic, Jacksonville
Neurology. 2010 Dec 23. [Epub ahead of print]
目的
プログラニュリン(GRN)変異遺伝子を有する患者と有しない患者を対象に、前頭側頭葉変性症(FTLD)とTMEM106Bの一塩基多型(SNP)が相関するかどうかを明らかにし、TMEM106BGRN発現を調節するかどうかを明らかにする。
方法
GRN変異を保有せず病理診断は不明であるが臨床的にFTLDと診断された482例と、同じくGRN変異を保有せずFTLD-TAR DNA-binding protein 43と病理診断されたFTLD患者80例、GRN変異を保有するFTLD患者78例ならびに対照822例について、TMEM106Bの3種類のSNPに関するケース・コントロール研究を行った。対照1,013例について血漿GRN濃度とTMEM106Bの関連分析を行い、FTLD患者33例と対照150例から得られた末梢血サンプルを用いてTMEM106BGRN mRNA発現量の相関を調べた。
結果
本研究のFTLD患者コホート全体で、2種類のTMEM106B SNPについて名目有意性が認められた(top SNP rs1990622、Pallelic=0.036)。しかし、対照と比較してGRN変異を保有する患者のサブグループでFTLDのリスクとの最も有意な相関が認められ(Pallelic=0.0009)、すべてのTMEM106B SNPの劣性アレルのホモ接合体を保有する患者の頻度が極めて有意に低かった(top SNP rs1990622、CC遺伝子型の発現頻度2.6% vs 19.1%、補正Precessive=0.009)。さらに対照においてTMEM106B SNPと血漿GRN濃度の有意な相関を認め(top SNP rs1990622、補正P=0.002)、FTLD患者と対照において末梢血サンプル中のTMEM106B SNPとGRN mRNA発現の間に極めて有意な相関を認めた(FTLD患者r=−0.63、P=7.7×10-5、対照r=−0.49、P=2.2×10-10)。
結論
TMEM106B SNPは、GRN変異を保有する患者における疾患浸透度を有意に低下させたが、これにはGRN量の調節が関与している可能性がある。この結果から、FTLD患者に対する保護的療法の今後の開発が期待される。
コメント
認知症の原因は種々あるが遺伝子の異常により出現するものもあり、以前に当難病updateで紹介した前頭側頭葉変性症の一部はプログラニュリン(GRN)遺伝子の変異で起こると言われている。本論文は、GRN遺伝子以外のTMEM106B遺伝子のSNPがGRN量を調節し、その量を減少させることで疾患発現の浸透率を低くして発症を減少させることを示したものである。治療につながる可能性があり、今後の研究の進行が待たれる。
監訳・コメント:大阪府立急性期・総合医療センター 神経内科 狭間 敬憲先生
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