難治性ANCA関連血管炎に対するリツキシマブ療法に関する多施設調査
A multicenter survey of rituximab therapy for refractory antineutrophil cytoplasmic antibody-associated vasculitis
Jones RB, Ferraro AJ, Chaudhry AN, Brogan P, Salama AD, Smith KG, Savage CO, Jayne DR.
Renal Unit, Addenbrooke's Hospital, Cambridge, UK. rbjones@doctors.org.uk
Arthritis Rheum. 2009 Jul;60(7):2156-68
目的
小規模研究では、リツキシマブを用いたB細胞減少治療により、再発または難治性の抗好中球細胞質抗体(ANCA)関連血管炎の寛解が得られることが示されている。本研究の目的は、より大規模な多施設コホートを対象としてANCA関連血管炎の治療におけるリツキシマブの有効性と安全性を検討することであった。これにより、リツキシマブを用いた投与レジメン間の比較、免疫抑制を継続する価値についての評価、および投与再開の指標となるバイオマーカーとしてのANCA濃度とB細胞数の役割の検討を可能とした。
方法
英国の4施設で難治性ANCA関連血管炎に対するリツキシマブ投与を受けた連続した症例65例を対象に、標準化された後ろ向きデータ収集を行った。
結果
全例でB細胞除去がみられた。65例のうち、完全寛解は49例(75%)、部分寛解は15例(23%)、無効は1例(2%)であった。プレドニゾロンの用量は12.5 mg/日(中央値)から、6カ月後の時点における9.0 mg/日まで低下した(P=0.0006)。免疫抑制療法を中止したのは60例中37例(62%)であった。十分な寛解が得られた49例のうちの28例(57%)では、再発が認められた(中央値11.5カ月)。27例中14例(52%)では、再発に先立ちB細胞の再増加がみられた。リツキシマブ療法を行った後にANCAレベルは低下したが、ANCA陽性またはANCA濃度の上昇と、再発との間には関連が認められなかった。リツキシマブの初回投与レジメンの種類(1週間ごとに375 mg/m2注入を4回、または2週間ごとに1 g注入を2回)と、免疫抑制療法の中止(60例中37例[62%])は、どちらも再発の時期に影響がなかった。38例が2サイクル以上のリツキシマブ投与を受け、うち32例(84%)で完全寛解が導入または維持された。ANCAのIgGレベルは安定に維持されていたが、IgM濃度は低下した。重篤な有害事象は46件認められ、これにはリツキシマブによるものとされた遅発性好中球減少症2件が含まれていた。
結論
本研究では、リツキシマブ療法は難治性ANCA関連血管炎に対する効果的な寛解導入療法であることが示された。2種類の主要投与レジメンの間で有効性に差は認められなかった。免疫抑制を継続しても再発は減少しなかった。再発はみられたが、効果的かつ安全な投与再開が可能であった。リツキシマブは重篤な有害事象の発現頻度に明確な影響を及ぼしていなかった。投与再開の時期の指標としてのANCA濃度およびB細胞数の感度は不十分であった。
コメント
ANCA陽性の血管炎であるWegener肉芽腫、顕微鏡的多発血管炎、Churg-Strauss症候群の治療は困難で、従来ステロイドおよび免疫抑制剤にたよっていた。このたび大規模臨床研究にてB細胞除去(低下)作用を有するリツキシマブの有効性が示された。このことによって治療方法における変革が生じたのみならず、ANCA関連血管炎がB細胞機能(抗体産生能、抗原提示能、サイトカイン産生能)の異常によることが示唆された。
監訳・コメント:大阪大学 先端科学イノベーションセンター 吉崎 和幸先生
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