パーキンソン病のグループ治療:無作為実施可能性試験
Group patient visits for Parkinson disease: A randomized feasibility trial.
Dorsey ER, Deuel LM, Beck CA, Gardiner IF, Scoglio NJ, Scott JC, Marshall FJ, Biglan KM.
600 N. Wolfe St., Meyer 6-181D, Baltimore, MD 21287 ray.dorsey@jhmi.edu.
Neurology. 2011 May 3;76(18):1542-7. Epub 2011 Apr 27.
背景
グループ治療は同じ疾患をもつ複数の患者が一緒に診察を受けることである。この治療提供の方法は慢性疾患患者に有益であることが示されているが、パーキンソン病(PD)については評価が行われていない。
方法
PD患者に対するグループ治療と通常の治療(1対1)を比較する12カ月間の無作為化試験を行った。患者と介護者が参加する診察は3名の試験担当医師のうち1名により約90分間実施された。グループ治療は12カ月間にわたり4回行われた。主要評価項目は参加者の集まりやすさと試験を完了した参加者の割合から評価した実施可能性とした。主要有効性評価項目はPD Questionnaire-39を用いて評価したQOLとした。
結果
患者30人と介護者27人が試験に登録された。グループ治療に割り付けられた患者15人中13人、通常の治療に割り付けられた患者15人中14人が試験を完了した。試験開始12カ月後に評価した両群のQOLには差がみられなかった(グループ治療25.9ポイントに対し通常治療26.0ポイント、P=0.99)。
結論
グループ治療はPD患者に対する実施可能な治療提供方法であり、一部の患者や医師にとっては治療提供の代替法あるいは補完法となる可能性がある。
エビデンスの分類
本研究の結果から、1年間のグループ治療によりPD患者のQOLは改善しなかったというクラスIIのエビデンスが得られた。
コメント
パーキンソン病患者への医療の提供方法としてグル―プ治療が可能であることを示した論文である。しかし、現行の1対1の治療方法と比較し、QOLに対する効果などは変わりなかった。糖尿病などの慢性疾患では有効であるとの報告が散見されるが、パーキンソン病は主治医との関係によるプラセボ効果が大きいと言われており、1対1の対応と、複数患者との対応の間に様々な問題があるのかもしれない。また、著者らも指摘するように、治療の場所の確保や日程調節など煩雑な面もあるが、医師にとってはある程度の時間、患者を観察しうるという長所もある。経済最適性および医療最適性などバランスを考慮したより良い治療体制の開発は重要な問題であり、グループ治療はその一方法として今後の検討が待たれる。
監訳・コメント:大阪府立急性期・総合医療センター 神経内科 狭間 敬憲先生
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