パーキンソン病患者の日常生活における自動車運転に関するアウトカム
Real-life driving outcomes in Parkinson disease.
Uc EY, Rizzo M, Johnson AM, Emerson JL, Liu D, Mills ED, Anderson SW, Dawson JD.
Department of Neurology, University of Iowa, Carver College of Medicine, 200 Hawkins Drive-2RCP, Iowa City, IA 52242 ergun-uc@uiowa.edu.
Neurology. 2011 May 31;76(22):1894-902.
目的
パーキンソン病(PD)を有するドライバーの自動車運転に関するアウトカムの発生率とリスク因子の解明
方法
前向きコホート研究により、免許を保有し実際に自動車を運転しているPD患者106人と対照130人について、自己報告と州運輸局の記録から、運転の中止、事故、ならびに交通違反までの期間を調査した。
結果
PD患者ドライバーは対照に比べ早期に運転を中止した(ハザード比7.09[95%信頼区間3.66〜13.75]、P<0.001)。ベースラインから2年目の運転中止の累積発生率はPD患者群で17.6%(95%CI 11.5〜26.5%)、対照群では3.1%(95%CI 1.2〜8.1%)であった。事故や違反が初めて発生するまでの時間については両群に有意な差はみられなかったが、事故件数は少なかった。Cox比例ハザードモデルにより、PD患者の運転中止に関するベースラインの有意なリスク因子は、高齢、誰か他の人に運転してもらうことを好む、事故歴がある、他の移動手段がある、運転歴が短い、視覚認知障害(特に視覚処理速度と注意)、認知機能、パーキンソニズム(特に日常生活活動スコアや抗パーキンソン病薬の1日総投与量)、路上テストでの失点の多さであることが示された。PD患者群内では、調査開始時の姿勢の不安定さと交通違反歴に事故との関連がみられ、年齢が低いことと路上テストの失点に交通違反との関連がみられた。
結論
PD患者のドライバーは対照の高齢ドライバーに比べて運転中止のリスクが高い。PDの運動症状と非運動症状、運転歴、ならびに運転能力についての検査がPD患者の自動車運転に関するアウトカムの予測に役立つ可能性がある。
コメント
最近のてんかん患者による自動車運転事故を契機として、てんかん患者の運転適性の判断についての再確認が日本神経学会でも実施された。本論文は、パーキンソン病患者の運転状況の前向き調査から、運転に関する危険因子を指摘したものである。パーキンソン病は運動障害、姿勢障害に加え、非運動症状として睡眠障害、自律神経障害などもあり、運転機能に悪影響を及ぼすことが十分に予測される疾患であるが、本論文が指摘した危険因子を知り、早めに運転を中止することは社会的にも重要なことと考えられる。一方、安易な指摘は患者の権利の剥奪、社会生活の幅を狭めることにもつながり、さらなる検討は必要である。
監訳・コメント:大阪府立急性期・総合医療センター 神経内科 狭間 敬憲先生
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