日常臨床診療におけるアダリムマブ、エタネルセプト、インフリキシマブの増量の頻度と有効性
Frequency and effectiveness of dose increase of adalimumab, etanercept, and infliximab in daily clinical practice
Blom M, Kievit W, Kuper HH, Jansen TL, Visser H, den Broeder AA, Brus HL, van de Laar MA, van Riel PL.
Radboud University Nijmegen Medical Centre, Nijmegen, The Netherlands. m.blom@reuma.umcn.nl
目的
日常臨床診療での関節リウマチ(RA)の治療においてアダリムマブ、エタネルセプト、インフリキシマブの増量が行われる頻度とその有効性について報告すること。
方法
腫瘍壊死因子(TNF)阻害薬による初回療法を開始したRA患者のデータが含まれる登録(Dutch Rheumatoid Arthritis Monitoring登録)から、1997年1月〜2008年1月にTNF阻害薬療法において増量を受けたすべてのRA患者を特定した。主要評価項目は、増量から3カ月後の時点での28関節による疾患活動性スコア(DAS28)の変化とした。副次的評価項目は、増量から6カ月後の時点でのDAS28の変化、欧州リウマチ学会(EULAR)の反応率、および増量から3カ月後と6カ月後の時点でDAS28≦3.2を達成した患者の割合とした。さらに、増量の各理由(無反応、反応消失、部分反応)について、増量の有効性を評価した。
結果
研究対象期間中に、アダリムマブ投与患者368例中44例(12%)、エタネルセプト投与患者420例中32例(8%)、インフリキシマブ投与患者323例中115例(36%)に対して増量が行われた。増量から3カ月後と6カ月後の時点でのDAS28の変化はわずかであり、エタネルセプト投与患者の3カ月後の時点においてのみ有意であった(−0.51、P=0.035)。無反応例および反応消失例では、増量から3カ月後の時点で疾患活動性に有意な低下(それぞれ−0.66および−0.99、共にP=0.001)がみられたが、部分反応例では低下はみられなかった。
結論
日常臨床診療において3つのTNF阻害薬のすべてについて増量が行われていたが、本研究の結果から増量の有効性は限られていることが示唆される。
コメント
TNF-α阻害薬は極めて有効であるが、長期投与により有効性が減弱あるいは消滅例がみられる。インフリキシマブでは一番多く36%にも達する。アダリムマブでは12%、少ないエタネルセプトですら8%にみられ、最近問題視されている。これを改善することを目的として、単純に増量を試みたものの、増量による有効性の回復はわずかで、増量よりは他の生物製剤への切り替えが推奨される。事実アクテムラへの変更により50%の改善が報告されている。このことは、TNF-αがRAの病態に部分的に関与しているにすぎないことを示唆している。
監訳・コメント:大阪大学大学院 工学研究科 吉崎 和幸先生
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