神経内科医師によるパーキンソン病の治療:利用、転帰、ならびに生存率の調査
Neurologist care in Parkinson disease: A utilization, outcomes, and survival study.
Willis AW, Schootman M, Evanoff BA, Perlmutter JS, Racette BA.
Washington University School of Medicine, Department of Neurology, 660 South Euclid Avenue, Campus Box 8111, St. Louis, MO 63110 willisa@neuro.wustl.edu.
Neurology. 2011 Aug 30;77(9):851-7. Epub 2011 Aug 10.
目的
米国のパーキンソン病(PD)患者の治療における神経内科医師の利用について調査し、神経内科医師による治療が臨床転帰の改善に関連するかどうかを検討した。
方法
2002年にメディケアを受給していたPD患者について後ろ向き観察的コホート研究を行った。マルチレベル・ロジスティック回帰を用い、2002年から2005年の間にどの患者特性が神経内科医師による治療を予測したかを調べ、年齢、人種、性別、併存疾患を補正した高度看護施設入所ならびに股関節骨折の年間リスクを、神経内科医師またはプライマリケア医師による治療を受けたPD患者の間で比較した。Cox比例ハザードモデルにより、医師の専門別に分類した新規PD症例を用いて6年間の補正死亡リスクを調べた。
結果
138,000例以上の新規PD症例が特定された。2002年から2005年の間に神経内科医師による治療を受けたのは58%のみであった。神経内科医師による治療に関する有意な人口統計学的予測因子は人種と性別であり、女性(オッズ比[OR]0.78、95%信頼区間[CI]0.76〜0.80)ならびに非白人(OR 0.83、95%CI 0.79〜0.87)では神経内科医師による治療を受ける確率が低かった。人口統計学的、臨床的、ならびに社会経済的な共変量を用いたロジスティック回帰モデルによると、神経内科医師の治療を受けている患者は高度看護施設に入所する確率が低く(OR 0.79、95%CI 0.77〜0.82)、股関節骨折のリスクもより低かった(OR 0.86、95%CI 0.80〜0.92)。神経内科医師の治療を受けている患者では、年齢、人種など様々な要素による補正死亡確率も低かった(ハザード比0.78、CI 0.77〜0.79)。
結論
女性とマイノリティーのPD患者では白人男性に比べ、専門医の治療を受ける頻度が低かった。PD患者に対する神経内科医師の治療は、特定の臨床転帰の改善と生存率の向上に関連する可能性がある。
コメント
本論文は、専門医による治療がパーキンソン病の良好な臨床経過と生命予後に関連することを示したもので、米国では白人男性が最も恩恵を受けるようである。パーキンソン病のようないわゆる難病は、治療に抵抗し、疾病自体は少なからず進行していく。進行を遅らせるためには専門的管理が重要であり、その背景には個人のおかれている文化的基盤が存在することが明らかにされたが、すべてのパーキンソン病患者が最高の医療を受けられるような支援体制の構築が必要である。
監訳・コメント:大阪府立急性期・総合医療センター 神経内科 狭間 敬憲先生
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