医師の振る舞い、および医師が医療事故開示をどのように行うべきかについての患者および家族の見解:「患者の100事例」調査に基づく質的研究
Patients' and family members' views on how clinicians enact and how they should enact incident disclosure: the "100 patient stories" qualitative study
Iedema R, Allen S, Britton K, Piper D, Baker A, Grbich C, Allan A, Jones L, Tuckett A, Williams A, Manias E, Gallagher TH.
Centre for Health Communication, PO Box 123, Broadway NSW 2007, University of Technology Sydney, Sydney, Australia. r.iedema@uts.edu.au
BMJ. 2011 Jul 25;343:d4423. doi: 10.1136/bmj.d4423.
目的
医療事故の開示に関する患者と家族の認識および体験について調査すること、ならびに効果的な開示のあり方を導きだすこと。
デザイン
患者および家族に対する半構造的かつ詳細な100事例の面談に基づく後ろ向き質的研究。
施設
オーストラリア全土における全国的な多施設共同研究。
対象
重症度の高い医療事故(死亡、永久的な身体障害または長期的な害に至るもの)および医療事故の開示に関わった患者39人および家族80人。募集は、全国紙(43%)、医療事故が発生した医療機関(28%)、インターネット上の市場調査会社2社(27%)ならびに消費者団体(2%)を介して行った。
主要評価項目
面談中に表明された参加者の再発経験および懸念。
結果
大部分の患者および家族は、医療施設による事故の開示が、各人の要望や期待にほとんど応えていないと感じていた。患者および家族は、事故開示のためのより良い準備、何が誤りであったのかについての対話、より良いフォローアップの支援、事故開示を行うべき時がいつであるのかに関する情報提供、処置におけるその後の改善に関するさらなる情報を期待していた。今回の分析は、効果的な事故情報開示に関する一連の対応策を策定するための基盤となった。
結論
率直な医療事故開示が行われるようになってきているにもかかわらず、医療事故についての議論は、患者および家族の期待に応えるにはまだ不十分であった。医療組織および医療提供者は患者(および家族)の要望および期待に応えることができるよう取り組みを強化すべきである。
コメント
医療機関受診者にとって、病気を治療してほしいとの願いで受診したにもかかわらず、受診医療機関における事故により生命を失ったり、障害などの後遺症が残ったりすることもある。医療の安全に関する対策も進みつつあるが、不幸にして事故が起こった場合の情報開示について、患者や家族の立場から現状を把握して、今後の対応方法を明らかにしようとしたオーストラリアの病院における研究である。結論としては、事故の情報開示はまだ不十分とのことであった。患者や家族の視点からの調査には難しいものがあるが、安全で安心できる医療社会のためには重要な研究である。
監訳・コメント:関西大学 社会安全学研究科 公衆衛生学 高鳥毛 敏雄先生
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