反復性上気道感染を有する小児を対象とした咽頭扁桃切除術の有効性:無作為化非盲検比較対照試験
Effectiveness of adenoidectomy in children with recurrent upper respiratory tract infections: open randomised controlled trial.
van den Aardweg MT, Boonacker CW, Rovers MM, Hoes AW, Schilder AG.
Department of Otorhinolaryngology, University Medical Centre Utrecht, Netherlands.
BMJ. 2011 Sep 6;343:d5154. doi: 10.1136/bmj.d5154.
目的
反復性上気道感染を有する小児を対象とした咽頭扁桃切除術の有効性を評価する。
デザイン
無作為化非盲検比較対照試験。
施設
一般病院11カ所と大学病院2カ所。
対象
反復性上気道感染を有し、咽頭扁桃切除術の対象となった1〜6歳の小児111人。
介入
鼓膜切開術を伴う咽頭扁桃切除術、または鼓膜切開術を伴わない咽頭扁桃切除術を行う介入を行った者(介入群)と、最初から経過観察を行う治療を選択した者(経過観察群)とを比較した。
主要評価項目
主要評価項目は、フォローアップ(最大24カ月間)の全期間中に得られたデータから算出した人年あたりの上気道感染の発症数とした。副次的評価項目は、人年あたりの上気道感染の日数、発熱を伴う中耳炎のエピソードおよび日数、発熱の日数、上気道感染の有病率、ならびに健康関連QOLとした。
結果
中央値24カ月のフォローアップ期間中、人年あたりの上気道感染のエピソードは、咽頭扁桃切除術群で7.91件、経過観察群で7.84件であった(発症率差0.07、95%信頼区間−0.70〜0.85)。上気道感染の日数、発熱を伴う中耳炎のエピソードおよび日数、ならびに健康関連QOLのいずれにも意味のある差は認められなかった。両群ともに経時的に上気道感染の有病率が低下していた。咽頭扁桃切除術群の小児は、経過観察群の小児に比べ、発熱を認めた日数が有意に多かった。小児2例が手術に関連した合併症を発現した。
結論
上気道感染に対する咽頭扁桃切除術の対象となった小児において、即手術を行うことは、最初から注意深い経過観察を行う治療選択と比べて、臨床的な利益が認められなかった。
試験登録
オランダ試験登録 NTR968: ISRCTN03720485
コメント
咽頭扁桃は口内からは見ることはできない。増殖肥大すると、鼻症状(鼻閉)、耳症状が現れる。幼児期から小児期によくみられる症状である。扁桃の免疫学的異常がIgA腎症や掌蹠膿胞症などにつながっていると言われている。反復性扁桃炎を年に4回以上繰り返している場合は、手術の適応とされている。本研究では、手術をしても、保存療法を行った者と比べて予後は変わらないとの結論であった。また、手術群では手術による合併症も加わるとのことであった。耳鼻咽喉科医や子どもの親は、目の前の子どもが症状を訴えているのを見ると何もしないわけにはいけないと考えがちであるが、中期的にみれば手術は不要であることを示唆する論文である。全身疾患との関連を考慮していない点が気になるが、耳鼻科医であればどう解釈するのか、知りたいところである。
監訳・コメント:関西大学 社会安全学研究科 公衆衛生学 高鳥毛 敏雄先生
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