パンデミックインフルエンザA(H1N1)型に対する一価アジュバント添加ワクチン接種後の神経障害および自己免疫障害:スウェーデン、ストックホルムにおける地域集団に基づいたコホート研究
Neurological and autoimmune disorders after vaccination against pandemic influenza A (H1N1) with a monovalent adjuvanted vaccine: population based cohort study in Stockholm, Sweden
Bardage C, Persson I, Ortqvist A, Bergman U, Ludvigsson JF, Granath F.
Medical Products Agency, PO Box 26, SE-751 03 Uppsala, Sweden.
BMJ. 2011 Oct 12;343:d5956. doi: 10.1136/bmj.d5956.
パンデミックインフルエンザA(H1N1)型に対するワクチンPandemrix(GlaxoSmithKline、Middlesex、英国)の接種者と非接種者について、神経障害および自己免疫障害のリスクを8〜10カ月間追跡した。対象としたのは、2009年10月1日ストックホルム県に住民登録があり1998年1月1日以降同地域に在住するすべての住民で、接種者1,024,019人、非接種者921,005人であった。年齢、性別、社会経済的地位、および医療利用状況で補正したところ、接種群ではベル麻痺(ハザード比[HR]1.25)、知覚異常(HR 1.11)との関連が認められた。ギラン・バレー症候群、多発性硬化症、1型糖尿病、および関節リウマチのリスクには、補正前後とも非接種群との差は認められなかった。接種初期には接種者で知覚異常および炎症性腸疾患のリスクが有意に高く、リスク上昇は最初の6週間以内に認められた。接種者では死亡のリスクが低かった。関連性は交絡因子で説明できる可能性もある。ナルコレプシーについては結論を得られなかった。
コメント
インフルエンザワクチンは、アレルギー反応や、ギラン・バレー症候群、急性散在性脳脊髄炎、けいれんなどの自己免疫疾患や神経障害を惹起することが懸念されている。本研究ではワクチン接種の関連はわずかであると結論づけている。接種群と非接種群の間に選択バイアス、調査バイアスが介在している可能性がある。また、保健医療サービスへのアクセス状況、健康への関心度の違いなどの交絡要因が介在している可能性があり、リスクを過小評価している可能性がある。さらに、1年以上の追跡期間による長期影響は評価できていないという限界がある。
監訳・コメント:関西大学 社会安全学研究科 公衆衛生学 高鳥毛 敏雄先生
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