多中心性キャッスルマン病に合併したインターロイキン‐6産生皮様嚢腫
Interleukin-6-producing dermoid cyst associated with multicentric Castleman's disease.
Ebara S, Song SN, Mizuta H, Ito Y, Hasegawa K, Kamata T, Matsumura-Nishikawa T, Ogawa T, Soneda J, Yoshizaki K..
Kobe Tokushukai Hospital, Kobe, Japan.
Int J Hematol. 2012 Feb;95(2):198-203. Epub 2011 Dec 14.
多中心性キャッスルマン病(MCD)は全身症状を伴う稀なリンパ増殖性疾患であるが、その原因は、罹患リンパ節で活性化したB細胞からインターロイキン‐6(IL-6)が過剰産生されるためと考えられている。本研究では骨盤腔の皮様嚢腫を伴ったMCDの32歳女性症例について報告する。MCDと皮様嚢腫を同時に発症した例はこれまでに報告されていない。組織切片の免疫組織化学分析により、皮様嚢腫内に浸潤したCD68陽性マクロファージ細胞によるIL-6産生が認められた。嚢腫切除の結果、血清中IL-6の減少に伴い全身症状が部分的に改善したが、皮様嚢腫切除後の抗IL-6受容体抗体を用いた治療により完全に改善した。我々の知る限り、本研究において皮様嚢腫中のCD68+細胞からのIL-6産生がMCDに関与することを示すエビデンスが初めて示された。
コメント
多中心性キャッスルマン病の主な症状や検査値異常は、肥大したリンパ節からのIL-6産生が原因である。しかしリンパ節以外の正常な組織や器官からIL-6が産生されているとの報告はない。悪性腫瘍細胞からのIL-6の産生は報告されているが、良性腫瘍としては心房粘液腫以外には認められていない。この報告は、リンパ節、悪性腫瘍以外の他の組織からIL-6が産生されることを示した貴重な症例報告である。と同時に、本疾患について、産生する細胞はリンパ球のB細胞以外にこれまで報告はないが、マクロファージからも産生されていることが本研究で示された。
監訳・コメント:大阪大学大学院 工学研究科 吉崎 和幸先生
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