頭部外傷、α-シヌクレインRep1とパーキンソン病
Head injury, alpha-synuclein Rep1, and Parkinson’s disease
Goldman SM, Kamel F, Ross GW, Jewell SA, Bhudhikanok GS, Umbach D, Marras C, Hauser RA, Jankovic J, Factor SA, Bressman S, Lyons KE, Meng C, Korell M, Roucoux DF, Hoppin JA, Sandler DP, Langston JW, Tanner CM.
The Parkinson's Institute, Sunnyvale, CA. sgoldman@thepi.org.
Ann Neurol. 2012 Jan;71(1):40-8.doi:10.1002/ana.22499.
α-シヌクレインをコードする遺伝子のプロモーター領域に存在する2塩基反復配列SNCA Rep1の多型が、頭部外傷とパーキンソン病(PD)リスクの関係性に影響するという仮説を検証した。2つの独立したケースコントロール研究(FAME、SEARCH)に参加した患者のRep1遺伝子型と、PDと診断される前に経験した頭部外傷(交絡の可能性がある因子の補正後)との相関を、ロジスティック回帰モデルで検定した。過去の報告と共通して、Rep1が長いケースではPDリスク上昇との相関が認められ、全体としては頭部外傷とPDの間に有意な相関は認められなかったが、Rep1が長い患者においては、強い相関が認められた(FAMEオッズ比[OR]5.4、95%信頼区間[CI]1.5〜19。SEARCH OR 2.3、95%CI 0.6〜9.2。統合OR 3.5、95%CI 1.4〜9.2、p-interaction=0.02)。頭部外傷と長いRep1両方を有する患者は、これら両方のリスク因子を有さない患者と比べて4.9年早くPDと診断されていた(P=0.03)。
コメント
頭部外傷によるパーキンソン病は従来から指摘されてきたが、両者の因果関係には一定した見解はない。今回、頭部外傷単独ではPDリスクとの相関が認められないものの、SNCA Rep1を発現している患者等、シヌクレインレベルが高い場合は、頭部外傷が神経変性を惹起し、パーキンソン病を発症する可能性のあることが示唆された。パーキンソン病発症において、従来から言われている多因子説を支持すると同時に、機序に関してひとつのヒントを与えてくれる興味ある論文と考えられることから紹介した。
監訳・コメント:大阪府立急性期・総合医療センター 神経内科 狭間 敬憲先生
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