家族性アミロイドポリニューロパチー患者における肝移植後の長期生存
Long-term survival after liver transplantation in patients with familial amyloid polyneuropathy.
Yamashita T, Ando Y, Okamoto S, Misumi Y, Hirahara T, Ueda M, Obayashi K, Nakamura M, Jono H, Shono M, Asonuma K, Inomata Y, Uchino M.
Departments of Neurology (T.Y., S.O., Y.M., T.H., M. Uchino), Diagnostic Medicine (Y.A., M. Ueda, K.O., H.J.), and Transplantation/Pediatric Surgery (K.A., Y.I.), Graduate School of Medical Sciences, Kumamoto University, Kumamoto; and National Institute for Minamata Disease
Neurology. 2012 Feb 28;78(9):637-43. Epub 2012 Feb 15.
常染色体優性遺伝の形式をとる家族性アミロイドポリニューロパチー(FAP)は、末梢神経や全身臓器における重合トランスサイレチン(TTR)の蓄積を特徴とする致死性の疾患である。肝移植によりアミロイド形成性のTTR産生が阻止されることから、本疾患に対する治療として受け入れられるようになった。しかし、肝移植実施症例での生存期間は明確に示されていないため、肝移植が患者の長期予後を改善するかどうかについて、1990年1月から2010年12月の期間に熊本大学医学部附属病院を受診したFAP Val30Met症例80例で検討した。移植群は、日本における部分生体肝移植、または、スウェーデン、オーストラリア、米国で肝移植を受けた37例、非移植群はFAP43症例。結果は非移植群に比べ移植群では有意な生存期間の延長がみられ(P<0.001)、10年生存率は、非移植群の56.1%に対し、移植群では100%であった。
コメント
TTR異常に伴うFAPには様々な型があるが、FAP Val30Met型に対する肝移植の有効性のクラスIIIのEBMを示した論文である。遺伝子異常で起こる疾患の治療法として確立されたと言えるが、適応例が意外に少ないとの報告も多く、また侵襲性や移植という精神的および経済的問題など、さらに、日本でのドミノ移植におけるFAP患者の肝臓移植を受けたセカンド・レシピエントでのFAP発症の報告などもあり、より優れたdisease-modifying therapyの開発が待たれる。
監訳・コメント:大阪府立急性期・総合医療センター 神経内科 狭間 敬憲先生
PudMed: