食事と生活習慣との関連の中で、プロトンポンプ阻害薬使用による大腿骨近位部骨折のリスクを検討:前向きコホート研究
Use of proton pump inhibitors and risk of hip fracture in relation to dietary and lifestyle factors: a prospective cohort study
Khalili H, Huang ES, Jacobson BC, Camargo CA Jr, Feskanich D, Chan AT.
Gastroenterology Unit, Massachusetts General Hospital, Boston, MA 02114, USA.
BMJ. 2012 Jan 30;344:e372. doi: 10.1136/bmj.e372.
プロトンポンプ阻害薬(PPI)の長期使用と大腿骨近位部骨折のリスクについて、米国の11州の看護師コホート(Nurses’ Health Study)の追跡データを、2年に1回チェックし、2000〜2008年6月1日まで追跡できた閉経後の女性79,899人を分析対象とした。565,768患者・年に対し、893件の大腿骨近位部骨折があった。PPI使用者で1,000患者・年あたり2.02件、非使用者で1.51件だった。年齢補正ハザード比は1.35(95%信頼区間1.13〜1.62)で、肥満指数(BMI)、身体活動、カルシウム摂取量などの生活習慣因子を補正しても値の変化は小さかった。喫煙者と過去喫煙者を比較するとPPI使用によるリスク比は50%以上有意に大きくなった。過去10件の研究論文のメタアナリシスによるプールオッズ比は1.30(1.25〜1.36)であった。
コメント
PPIは、逆流性食道炎などの胃腸疾患に使われる薬物であるが、その生理作用から、長期使用によりカルシウム代謝へ影響し、老後を左右する大腿骨近位部骨折のリスクを高めることが懸念されていた。本論文では、調査とメタアナリシスの双方とも関連があるとの結果であり、特に喫煙者ではよりリスクが高くなることが示された。最近使用量が増えているPPIの安易な投与について警鐘をならす論文である。
監訳・コメント:関西大学 社会安全学研究科 公衆衛生学 高鳥毛 敏雄先生
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