米国国立老化研究所とアルツハイマー病協会による前臨床期アルツハイマー病診断基準に関する実践的アプローチ
An Operational Approach to National Institute on Aging–Alzheimer’s Association Criteria for Preclinical Alzheimer Disease
Jack CR Jr, Knopman DS, Weigand SD, Wiste HJ, Vemuri P, Lowe V, Kantarci K, Gunter JL, Senjem ML, Ivnik RJ, Roberts RO, Rocca WA, Boeve BF, Petersen RC.
Department of Radiology, Mayo Clinic and Foundation, Rochester, MN. jack.clifford@mayo.edu.
Ann Neurol. 2011 Sep 12. doi: 10.1002/ana.22628
米国アルツハイマー病協会(Alzheimer’s Association)と国立老化研究所(National Institute on Aging)により発表されたアルツハイマー病(AD)の研究用の前臨床期診断基準につき、用いられた画像バイオマーカーの標準化を含めた予備的検討をした。脳アミロイドイメージング(AI)によるAβ沈着、神経変性のPETイメージングによるシナプス機能障害、海馬体積による脳萎縮を評価。画像バイオマーカー及び認知機能カットポイントを、AD患者42例、一般集団サンプルの認知機能正常(CN)450例から設定。新基準ではADの前臨床期をステージ1から3に分類しているが、本検討ではステージ0(ADバイオマーカーが正常かつ認知機能障害無し)、SNAP(AIは正常であるがシナプス機能異常あり)を追加する必要があった。カットポイントをAD診断感度90%かつCN認知機能スコア10パーセンタイルで固定した場合、43%はステージ0、16%がステージ1、12%がステージ2、3%がステージ3、23%がSNAPに分類され、CN症例の97%はいずれかに分類された。
コメント
アルツハイマー病でAβ沈着を根本的原因とする「アミロイド仮説」において、Aβの蓄積が始まりつつあるが、未だ神経細胞に変性が認められない時期に診断できることは、発症及び進行抑制効果のある薬剤、すなわちDisease Modifying Therapy(DMT)の開発や使用(前臨床期患者への発症予防治療開始に対する受け入れを容易にすると考えられる)において重要である。米国アルツハイマー病協会と国立老化研究所により発表されたアルツハイマー病(AD)の研究用の前臨床期診断基準は意義深いが、本論文が指摘するように、アルツハイマー病の病理学的プロセスをバイオマーカーを用い診断するには検査値の標準化が問題である。本診断方法の検証が進み、より精緻な前臨床期診断法が確立し、有用なDMTが開発されることを期待する。
監訳・コメント:大阪府立急性期・総合医療センター 神経内科 狭間 敬憲先生
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