筋萎縮性側索硬化症患者および前頭側頭型認知症患者におけるC9orf72の6塩基反復配列伸長の頻度:横断研究
Frequency of the C9orf72 hexanucleotide repeat expansion in patients with amyotrophic lateral sclerosis and frontotemporal dementia: a cross-sectional study
Majounie E, Renton AE, Mok K, Dopper EG, Waite A, Rollinson S, Chiò A, Restagno G, Nicolaou N, Simon-Sanchez J, van Swieten JC, Abramzon Y, Johnson JO, Sendtner M, Pamphlett R, Orrell RW, Mead S, Sidle KC, Houlden H, Rohrer JD, Morrison KE, Pall H, Talbot K, Ansorge O; Chromosome 9-ALS/FTD Consortium; French research network on FTLD/FTLD/ALS; ITALSGEN Consortium, Hernandez DG, Arepalli S, Sabatelli M, Mora G, Corbo M, Giannini F, Calvo A, Englund E, Borghero G, Floris GL, Remes AM, Laaksovirta H, McCluskey L, Trojanowski JQ, Van Deerlin VM, Schellenberg GD, Nalls MA, Drory VE, Lu CS, Yeh TH, Ishiura H, Takahashi Y, Tsuji S, Le Ber I, Brice A, Drepper C, Williams N, Kirby J, Shaw P, Hardy J, Tienari PJ, Heutink P, Morris HR, Pickering-Brown S, Traynor BJ.
Molecular Genetics Unit, Laboratory of Neurogenetics, National Institute on Aging, National Institutes of Health, Bethesda, MD, USA.
Lancet Neurol. 2012 Apr;11(4):323-30. Epub 2012 Mar 9.
筋萎縮性側索硬化症(ALS)および前頭側頭型認知症(FTD)の症例におけるC9orf72のGGGGCCの6塩基反復配列伸長(Hexanucleotide Repeat Expansion)の有無について、世界中の17地域のALS患者4,448人およびFTD患者1,425人に対しrepeat-primed PCR法で調べた論文である。孤発性ALS患者の遺伝子配列の保有率は、米国、欧州およびオーストラリアの白人患者で7.0%、米国の黒人患者で4.1%、ヒスパニック系患者で8.3%、欧州および米国の白人家族性ALS患者で39.3%、欧州の白人孤発性FTD患者で6.0%、白人家族性FTD患者で24.8%であった。反復配列伸長を有する患者はフィンランド起源のリスクハプロタイプを有していた。35歳未満の患者ではみられず、58歳までの患者では50%、80歳までではほぼすべての患者が有していた。C9orf72の遺伝子リピートは、孤発性および家族性のALSおよびFTDの症例に関係していることから、患者の把握や遺伝相談に役立つのではないかと提言している。
コメント
C9orf72遺伝子のGGGGCC Hexanucleotide Repeatの異常伸張と、家族性のALSとの関連が知られている。この遺伝子変異は欧米のFTDで最も高頻度にみられるが、人種間で保有率に差があるようである。本研究はサンプルサイズが小さく、また家族性と孤発性の判断が問診だけに依存していることなどから、さらに症例を増やして検討する必要がある。また、この遺伝子異常が病気とどのように関わっているのか、疾患の診断にどう使えるのかについては本論文のデータだけではわからない。遺伝子配列が容易に研究できるようになり、遺伝子配列との関係で病気を検討できるようになったことは朗報であるが、遺伝子配列異常と疾病が必ずしも1対1でつながっているというわけではない。病気の発現メカニズムは単純ではなさそうである。
監訳・コメント:関西大学 社会安全学研究科 公衆衛生学 高鳥毛 敏雄先生
PudMed: