関節リウマチにおける滑膜線維芽細胞の異常増殖:臨床病理学的相関と抗TNF-α療法後の部分的な減少
Synovial Fibroblast Hyperplasia in Rheumatoid Arthritis: Clinicopathologic Correlations and Partial Reversal by Anti–Tumor Necrosis Factor Therapy
Izquierdo E, Cañete JD, Celis R, Del Rey MJ, Usategui A, Marsal S, Sanmartí R, Criado G, Pablos JL.
Servicio de Reumatología, Hospital 12 de Octubre, Madrid, Spain.
Arthritis Rheum. 2011 Sep;63(9):2575-83. doi: 10.1002/art.30433.
滑膜線維芽細胞(SF)の異常増殖は関節リウマチ(RA)の発症に関与するが、この過程に関する定量的情報は不足している。本研究では、SFの定量的マーカーとして線維芽細胞特異的マーカーHsp47について臨床病理学的相関と抗TNF-α療法後の経過について解析した。
RA患者48例と健常または変形性関節症(OA)の対照者20例から滑膜の生検サンプルを採取した。生検時に活動性RAを呈していた患者25例に対しては、抗TNF-α療法後に2回目の生検を実施した。Hsp47陽性を示した表層および表層下の区分領域を定量し臨床病理学的項目との相関について解析した。
Hsp47は、正常滑膜組織および罹患滑膜組織の表層、表層下、および血管周囲の線維芽細胞に、特異的かつ一様に発現していた。表層のSF領域は、RAと後期OAの組織において、正常組織と比較して有意に増加していた。表層下のSF領域は、RA組織において、正常組織と比較して増加していたが、後期OAの組織では増加していなかった。表層のSF領域とマクロファージ密度、28関節での疾患活動性スコア、RAの罹病期間との間に正の関連性が認められた。これに対し、表層下のSF領域とRAの罹病期間および活動性との間に負の相関が認められた。抗TNF-α療法後に表層のSF領域の有意な減少が認められたが、表層下では認められなかった。
本研究の結果から、Hsp47は、ヒト滑膜組織のSFを定量するための確実なマーカーであることが示される。表層のSFの増殖がRAの活動性および経時的な進行と一致していることから、抗TNF-α療法によって部分的に正常化できる可能性がある。
コメント
RAにおける臨床像変化については、検査の中で、炎症マーカー、貧血マーカー、アルブミン量等で把握することができる。しかし、関節部の疼痛、腫脹等を量的に把握することは困難であり、わずかにMMP-3、オステオカルシン、ピリジノリン等をおおまかに把握できるだけであった。このたびの生検によるHsp47の発現は、滑膜組織の滑膜細胞の数(量)を推定するマーカーになりうる可能性があり、治療効果の判定にも使用できる可能性を示している。ただし、本測定も、あくまで生検組織を用いるため、リスクの高い検査である。
監訳・コメント:大阪大学大学院 工学研究科 吉崎 和幸先生
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