インターロイキン-6はマウスにおいて低酸素誘導因子2αで誘発される実験的変形性関節症による軟骨破壊に不可欠である
Interleukin-6 plays an essential role in hypoxia-inducible factor 2α-induced experimental osteoarthritic cartilage destruction in mice.
Ryu JH, Yang S, Shin Y, Rhee J, Chun CH, Chun JS.
School of Life Science, Gwangju Institute of Science and Technology, Gwangju, Korea.
Arthritis Rheum. 2011 Sep;63(9):2732-43. doi: 10.1002/art.30451.
低酸素誘導因子2α(HIF-2α)は,異化因子遺伝子の発現を調節することで変形性関節症(OA)による軟骨破壊を引き起こす。本研究ではこの軟骨破壊におけるインターロイキン-6(IL-6)の役割について調べた。
マウス軟骨の初代培養細胞、OA患者の(ヒト)軟骨ならびにOAモデルマウス(STR/ortマウスならびに実験的モデル)の軟骨における、HIF-2α、IL-6ならびに異化因子(Mmp3、Mmp13)の発現を調べた。実験的OAモデルマウスはHIF-2αを発現するアデノウィルス(AdEpas1)の関節内注入または内側半月板の損傷により作成した。
関節軟骨細胞においてIl6がHIF-2αの標的遺伝子であることが示された。OA患者ならびにOAモデルマウスの軟骨においてHIF-2αとIL-6の発現増加がみられた。HIF-2αノックダウンにより軟骨細胞のIL-6発現の抑制、ならびに実験的OAマウスの軟骨破壊の抑制がみられた。軟骨細胞ではIL-6投与により異化因子の発現が増加するが、Il6ノックダウンによりHIF-2αによる異化因子の発現増加が抑制された。IL-6の関節内注入によりマウスの軟骨破壊が引き起こされるが、IL-6中和抗体存在下ではHIF-2αによる軟骨破壊は阻害され、同時に異化因子の発現も抑制された。さらにIl6ノックアウトマウスで作成した実験的OAモデルでは軟骨破壊の抑制と共に異化因子発現の減少がみられた。
これらの結果から、HIF-2αにより誘発される実験的OAモデルマウスの軟骨破壊においては、IL-6が異化遺伝子の発現調節を介して重要な因子として働くことが明らかになった。
コメント
変形性関節症(OA)は関節リウマチ(RA)以上に患者数が多く、加齢によって生じ、疼痛を伴う関節障害である。特に、軟骨破壊によるため再生しがたい。この発症については十分な解析はされていないが、サイトカインの関与が示唆されている。本研究では、HIF-2αがIL-6を産生し、IL-6が異化因子を発現する機序から、OAに対するIL-6抑制治療の可能性が示唆されている。しかし、IL-6以外のサイトカインについても解析を要すると考えられる。
監訳・コメント:大阪大学大学院 工学研究科 吉崎 和幸先生
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