変形性関節症患者における人工股関節置換術の死亡率および再置換率:登録に基づいたコホート研究
Mortality and implant revision rates of hip arthroplasty in patients with osteoarthritis: registry based cohort study
McMinn DJ, Snell KI, Daniel J, Treacy RB, Pynsent PB, Riley RD.
McMinn Centre, Edgbaston, Birmingham B15 3DP, UK.
BMJ. 2012 Jun 14;344:e3319. doi: 10.1136/bmj.e3319.
人工股関節置換術を受けた変形性関節症患者を対象とし、セメント使用、非使用の患者で死亡率および再置換率を比較、ならびにBirmingham股関節表面置換術を受けた患者との比較を行った研究である。
本研究は、National Joint Registryの患者約275,000人の記録を用いたコホート研究である。解析は、パラメトリック生存分析(Flexible parametric survival analysis)を用いて行われ、群間の比較は、年齢、性別、American Society of Anesthesiologists(ASA)のグレードで補正をしている。
セメント使用群では、セメント非使用群に比べ、死亡率が高いことが明らかにされた(ハザード比1.11、95%CI 1.07〜1.16)。逆に、セメント使用群では再置換率が低かった(0.53、0.50〜0.57)。手技後8年の時点では、セメント使用群において予想される死亡率は、セメント非使用群に比べて0.013高かった(0.007〜0.019)。男性に限定した解析では、Birmingham股関節表面置換術群では死亡率が低く、再置換率はセメント非使用群と同等であった。
これまでは、値段のより安いセメント使用の股関節全置換術用移植片の使用を推奨および正当化するために、人工股関節置換術の再置換率に関する補正解析のみが用いられてきた。今回の我々の研究では、死亡率についてさらに検討し、セメント使用の股関節全置換術によってより高い死亡率を伴う可能性があることが示唆された。このことについては、さらなる研究を行う必要がある。
コメント
高齢社会において、変形性股関節症の人が増えており、その人工股関節置換術の術式の検討が重要になってきている。本研究では、推奨されているセメント使用群は、再置換率が低く、低下価格でありよいとされているが、死亡率も考慮して検討すると最善であるとは言えないことを示唆する論文である。
術式の比較には様々な因子の補正を行った解析が必要であり、本当に正しく比較が出来ているかについては不明である。1つの参考データと考え、さらなるエビデンスの積み重ねが必要である。
監訳・コメント:関西大学 社会安全学研究科 公衆衛生学 高鳥毛 敏雄先生
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